NTTデータは2010年9月6日、特許庁職員に対する贈賄容疑で元社員の沖良太郎被告(8月31日付でNTTデータから解雇処分)が逮捕・起訴されたことを受けて実施していた社内調査の結果を公表した(関連記事1関連記事2)。報告書では、該当の事件の概要、事件が起きた原因と問題点、類似案件の有無、再発防止策をA4用紙18枚にまとめた。

 事件が起きた原因と問題点では、沖被告の犯行の手口を明らかにしている。それによると、タクシーチケットは沖被告が承認者である立場を利用して不正に払い出していた。交際費は接待相手を民間企業と偽って起票していた。

 類似案件の有無の調査では、新たに2人の特許庁職員に対してタクシー代や飲食代を肩代わりしていた事実が発覚している。タクシーチケットに記載された到着地から、2人の自宅は東京都北区王子と神奈川県横浜市金沢区と考えられるとする。自宅の場所から、経済産業省の「特許庁情報システムに関する調査委員会」が発表した職員2人と同一人物とみられる(関連記事)。

 再発防止策として、NTTデータは三つの取り組みを始めるとする。一つめはコンプライアンス教育の徹底。2010年9月6日付で山下徹社長が「コンプライアンス宣言」を実施し、集合研修の回数を増やす。二つめは人事配置・処遇の見直し。沖被告が長期にわたって同じ担当であったことが今回の事件を招いた遠因であると考え、人事ローテーションの回数を多くする。三つめがタクシー代や交際費のチェックの厳格化だ。申請のために専用の情報システムを構築したり、コーポレートカードによる決済を義務付けるなど、不正を起こさせないルールに変えた。

 これらの調査の正当性や再発防止策の妥当性については、社外の弁護士で組織した「社外有識者検証委員会」が確認し、「適切なものであると認める」という趣旨の報告書を公表している。

■変更履歴
記事公開当初、沖良太郎氏を「容疑者」と表記していましたが、すでに起訴済みのため「被告」が正しい表記でした。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2010/09/06 19:00]