写真●ソフトバンクの孫正義社長
写真●ソフトバンクの孫正義社長
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 ソフトバンクは2010年7月29日、2010年4~6月期(第1四半期)の決算を発表した。売上高は前年同期比5%増となる7008億円、営業利益は同45%増の1566億円の増収増益だった。営業利益は5期連続の最高益更新となる。競合他社であるKDDIの今期の営業利益1293億円(関連記事)を抜いたことを、ソフトバンクの孫正義社長(写真)がアピールする場面もあった。

 好調の要因として孫社長は、5月と6月に相次いで発売した米アップルの「iPad」、「iPhone 4」の存在を挙げた。純増数は前年同期比でほぼ倍増となる約70万、データARPU(月間電気通信事業収入)は同370円増の2250円。これによって総合ARPUは同260円増加の4290円となった。ARPUの増加によって移動体通信事業単体の営業利益は前年同期比約70%増の1026億5700万円となり、過去最高益更新に大きく寄与した。

 なおiPadは企業からの引き合いが多く集まっており、「先日開催した大企業向けのiPad説明会では一瞬で3000人の申し込みが殺到した」(孫社長)という。

基地局倍増は「上半期は場所探し、工事の進捗は下半期に」

 iPhoneやiPadによるデータトラフィックの伸びは収益に貢献する一方で、ネットワークの負荷増大を招く。孫社長は、米シスコが発表した2009年からの5年間でモバイルトラフィックが約40倍に増えるという予測を紹介。「ソフトバンクとしてもその予測通りに進むと考えている」(孫社長)とインフラ増強の必要性を説き、3月に発表した基地局倍増計画(関連記事)の進捗を紹介した。

 この計画は、2010年3月末段階で約6万としている同社の基地局数を1年で約12万局と倍増するという取り組みである。今期の進捗状況は、2010年6月末の段階で約6.6万局と約6000局の増加にとどまっている。この点について孫社長は「上半期は場所探しがほとんど。実際の工事が進捗するのは下半期。合計12万局となる機材の発注も行っている」と話した。6月末の段階で2.8万局分の場所の確定と設計を終えており、2010年4月に新たに割り当てを受けた1.5GHz帯についても9月から運用開始するという。

 インフラ増強策として5月から申し込みを開始したフェムトセルについても進捗を紹介。7月29日時点で約3万件の申し込みがあるという。ただ基地局1件ずつ総務省に申請が必要で手続きに時間がかかることを説明。実際の開通数は明らかにしなかった。

 同じくインフラ増強策として進めている公衆無線LANエリアの拡充については、3月末時点で16件だったパートナー企業が2011年3月末までに774件まで増える見通しであることも明らかにした。

 またこの日、ソーシャルゲーム開発の大手である米ジンガと共同で「ジンガジャパン」を設立することも併せて発表した。ソフトバンクの出資比率は50%の137億円となる。

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