NTTコミュニケーションズは2010年6月2日、クラウド基盤を用いて仮想デスクトップ環境を提供するサービス「Bizデスクトップ」を6月9日から提供開始すると発表した。同社が2009年6月から実証実験を進めていたクラウドコンピューティング基盤技術「Setten」(セッテン)を商用化した(関連記事)。

 Bizデスクトップは、VPN(仮想閉域網)回線や3G携帯電話など様々なネットワークを介して、パソコンや携帯端末上に仮想デスクトップ環境を提供するサービス。PCや端末上にはデータを残さない仕様だ。

写真1●ブラウザ経由で操作する「Bizデスクトップ ベーシック」の画面
写真1●ブラウザ経由で操作する「Bizデスクトップ ベーシック」の画面
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 サービスメニューとして、ブラウザからのみ利用できる仮想デスクトップ環境を提供する「Bizデスクトップ ベーシック」と、IaaS(Infrastructure as a Service)としてクラウド基盤を提供しユーザーが好みの環境を構築できる「Bizデスクトップ Pro」の2タイプを用意した。利用料金は、Bizデスクトップ ベーシックが1ID当たり月額1260円。同Proが、1サーバー当たり月額7万8750円から(30ID利用時)となる。

 説明会ではデモを交えながら主にBizデスクトップ ベーシックを紹介した(写真1)。WebメールソフトやMicrosoft OfficeのWord、Excel、PowerPoint相当の「ThinkFree Write、同Calc、同Show」、5GBの個人用ストレージを標準で備える。

写真2●メール・アプリケーションも標準で備える
写真2●メール・アプリケーションも標準で備える
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 デモではNTTコムの公衆無線LANサービスを用いて、ブラウザ経由でファイルを閲覧したり、メールを送受信する様子を披露(写真2)。マウスの右クリックで専用メニューを表示したり、フォルダの作成が可能など、ブラウザ経由の操作ながらパソコンのデスクトップに近い操作感を実現していた。

 メールやオフィスアプリといった基本アプリケーションはNTTコムが用意するが、より業務に特化したアプリケーションは、同社とパートナシップを結ぶSaaS事業者が提供する予定。

写真3●携帯電話からの操作も可能だ
写真3●携帯電話からの操作も可能だ
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 Bizデスクトップ ベーシックは、NTTドコモの携帯電話からの操作も可能だ。専用iアプリをインストールすることで、パソコンでログインした場合とほぼ同じデスクトップ画面が現れる(写真3)。拡大・縮小機能によって携帯の小さな画面上でも文書を見やすくする工夫も施している。

 Bizデスクトップは、同社のクラウドサービスの総称「BizCITY」の中核として今後も機能を強化する。2010年度の第2四半期以降に、多要素認証やシングルサインオンなどの認証機能の強化を予定している。NGNの回線認証にも対応する計画だ。

 同じく第2四半期以降に、端末の種類やネットワークのタイプなどアクセス環境を把握し、オンデマンドでVPNを構成するといったネットワーク面の拡張も進めるとしている。

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