写真1●NTTコミュニケーションズの原隆一・先端IPアーキテクチャセンタ所長
写真1●NTTコミュニケーションズの原隆一・先端IPアーキテクチャセンタ所長
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写真2●Windows上でWebOSを立ち上げ,ネットワーク・ストレージに置いた自分のファイルや自社システム上のファイル・サーバーにアクセスするデモンストレーション
写真2●Windows上でWebOSを立ち上げ,ネットワーク・ストレージに置いた自分のファイルや自社システム上のファイル・サーバーにアクセスするデモンストレーション
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 NTTコミュニケーションズ(NTTコム)は2009年6月2日,開発中のクラウド・コンピューティング基盤技術「Setten」(セッテン)を活用した実証実験を開始すると発表した。8月まで約3カ月間の技術検証を行い,2009年度中に商用サービス化することを目指す。実証実験にはNTTグループ企業やシステム・インテグレータ,大手流通企業など15社が参加し,サービスの利便性や可用性,事業化の可能性などを検証する。

 事業者が運用するサーバーやアプリケーション・サービスをネットワーク経由で利用する「クラウド・コンピューティング」は,システム導入の速さや,システムを所有しないことによるコスト削減効果がメリットである。NTTコムが開発したSettenは,こうした利点に加えて,「アプリケーションからネットワークまでを含めて信頼性の高い利用環境を提供するための基盤技術」(NTTコミュニケーションズの原隆一・先端IPアーキテクチャセンタ所長,写真1)という。

 具体的には,ブラウザ上でファイル操作ができるユーザー・インタフェースや,様々な外部アプリケーションと連携可能な公開API(application programing interface)を用意することが特徴である。これにより,企業が既に自社内に構築済みのシステムと連携したり,VPN(仮想閉域網)回線や3G携帯電話など様々なアクセス手段を使って,アプリケーションを利用できるようにした。

 Windows画面と同様にファイル操作ができる専用のブラウザは,同社が「WebOS」と呼ぶもの(写真2)。NTTグループの研究所が開発した技術を応用している。このブラウザを介して,自社のファイル・サーバーを操作したり,操作したファイルをダウンロードすることなく画面を転送する形で閲覧できるようになっている。外出先から利用する際にも端末に情報を残さなくて済むため,安全に社内システムを利用できるという。NTTコムによると,ディスク装置などを省いたシン・クライアント端末を導入するのに比べて10分の1のコストでリモート・アクセス環境を構築できるとしている。

 商用化する際には,NTTコムがすでに提供中のSaaS(software as a services)サービスの「BizCITY」にSettenの基盤技術を統合する形で提供する計画だという。

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