富士通元社長の野副州旦氏が、取締役としての地位保全を求める仮処分を横浜地裁川崎支部に提出し、結審日の2010年4月6日に取り下げていたことが分かった。

 野副氏は3月15日に仮処分を申請。3月23日と4月6日の2回にわたり審尋が開かれた。野副氏の代理人弁護士によると、結審日の4月6日の前に、富士通が調査報告書を証拠として提出。野副氏は、調査報告書を精査した上で反論する機会を求めた。これに対して同地裁は、このまま決定を下すか、打ち切るかのどちらかを選択するように野副氏側に伝えた。このため、野副氏は反論の機会を得るために裁判所の決定を待たず、結審日当日に取り下げを決めたという。

 富士通は、「野副氏が辞任に至った経緯に関する証拠を提出し、同氏の辞任が法的になんら問題ないものであることを主張してきた」とのコメントを発表。野副氏の辞任の経緯などを、来週中に記者会見を開いて説明する。

 野副氏は4月7日に東京都内で記者会見を開き、富士通の役員を相手取り、株主代表訴訟と損害賠償請求を起こす方針を示している(関連記事1関連記事2)。