英国の日刊紙「The Times」と 日曜紙「The Sunday Times」が、6月からオンライン版を有料にする。米News Corporationの英国法人News Internationalが現地時間2010年3月26日に発表した。

 購読料は1日1ポンド(約138円)。1週間2ポンド(約276円)のサブスクリプションも用意する。この購読料で読者は両サイトのコンテンツを閲覧できる。同社は現在運営している両紙の共同サイト「Times Online」を刷新し、5月初旬にそれぞれ「thetimes.co.uk」と「thesundaytimes.co.uk」を開設する。有料版の正式スタートを6月とし、それまでの間は無料のトライアル版を登録ユーザーに提供する。

 24日付のTimes紙オンライン版記事によると、News InternationalのCEO(最高経営責任者)であるRebekah Brooks氏は、「ジャーナリズムの今後を決定付ける瞬間」と述べたという。

 また同紙編集長のJames Harding氏は、「(有料化は)リスクが多いと言う人がいることは分かっている。しかし現在のやり方を続けていることに比べ、そのリスクははるかに小さい」とし、「品質の高いジャーナリズムを追求するとき、持続可能な経済モデルを実現させる唯一の方法が有料コンテンツだ」と述べたという。

 新聞各社は今、有料サービスへの移行を進めている。News会長兼CEOのRupert Murdoch氏は有料サービス重視の姿勢を示しており、昨年8月、同社傘下のすべての新聞のオンライン版を有料化すると発表した。Wall Street Journal(WSJ)で全文を読む際に有料会員への登録が必要な「Pay Wall(有料の壁)」を導入しているほか、2009年12月にはWSJ日本版の正式サービスを有料会員制で始めた。

 このほか英経済紙のFinancial Timesが既に有料モデルを導入している。米New York Timesは今年1月、2011年の初めから課金システムを導入すると発表した(関連記事:New York Times紙、オンライン・コンテンツを2011年より有料化)。日本では、日本経済新聞社が紙面の記事全文をオンラインで読める「日本経済新聞 電子版」を開始している(関連記事:日経新聞が有料電子新聞「Web刊」開始を発表、3月23日から)。

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