富士通が前社長である野副州旦氏の辞任理由を訂正した問題で、東京証券取引所は2010年3月9日、富士通に対して口頭で厳重に注意した(関連記事1関連記事2関連記事3)。

 富士通はこの日午後、東証に対し、3月6日に発表した前社長辞任理由の訂正に至った経緯などを説明した。これに対して、東証は「代表者の異動理由について適切な説明が行われておらず、開示の適正性に欠けていた」として、厳重に注意。企業の社会的責任の観点から十分な説明を尽くすように求めた。

 東証は口頭で注意したが、改善報告書などの提出は求めなかった。これについて東証は、「代表者異動自体に係る投資者の投資判断に大きな誤りをもたらすほどの重大な影響があるとまでは言い難い」と説明している。

 東証の厳重注意を受けて、富士通は「これを真摯に受け止め、今後も、状況に応じて、適切な情報開示に努める」とのコメントを発表した。

 前社長辞任を巡って、野副氏側は取締役の辞任取り消しと弁明のための臨時取締役会開催を求めている。これに対して富士通は「9月25日の時点で野副氏から事情を聞き、弁明の機会があった上で、野副氏が辞任を選択した。改めて説明の機会を設ける必要はない」(広報)として、要求に応じない方針である。