欧州連合(EU)の欧州委員会(EC)はベルギーで現地時間2010年2月18日、米Microsoftと米Yahoo!の検索事業に関する提携を承認すると発表した。両社事業の統合が欧州経済領域における競争を大きく妨げるものではないと判断した。

 MicrosoftとYahoo!は2009年7月に、検索および検索広告プラットフォームを統合することで10年間の提携を結ぶことを発表し、同年12月に最終合意した(関連記事:Yahoo!とMicrosoft、検索/広告事業の提携内容で最終合意)。Microsoftは、Yahoo!に検索サービス「Bing」と検索広告プラットフォーム「adCenter」を独占的に提供する。最初の5年間、Yahoo!および関連サイトから得た検索関連収入の88%をYahoo!に支払う。また、Yahoo!から400人以上の従業員を雇用し、社員の離職を防止するリテンション・プランの費用も負担する。

 欧州経済領域におけるインターネット検索および検索広告市場では、米Googleが90%以上の市場シェアを占めており、MicrosoftとYahoo!を合わせた市場シェアは10%に満たない。Microsoftは、Yahoo!と検索事業を統合し、検索広告分野における同社の規模を拡大することで、同社が信頼性のあるGoogleの代替となり、広告主により優れた価値をもたらすことができると主張している。ECは「第一段階の調査で、この規模が検索広告市場の効果的な競争にとって重要な要素になると判明した」と説明している。

 またECは、インターネット検索のユーザー、広告主、オンライン・パブリッシャ、技術プロバイダなどに対する影響についても検証した。第一段階の調査の結果、市場参加者は両社の提携が競争やビジネスにマイナスの影響を与えると考えていないだけでなく、MicrosoftがGoogleの強力なライバルになることでインターネット検索および検索広告市場の競争が活発化すると期待していることが分かったとしている。

 ECの承認を受け、MicrosoftとYahoo!は共同声明を同日発表した。ECと米司法省が無条件で両社の提携を認めたため、両社はただちに統合プロセスに取りかかる。検索プラットフォームの移行完了は年内を見込む。検索広告については、ホリデー・シーズン前後に米国広告主とパブリッシャを新プラットフォームに移行させ、国外向けは2012年初頭までに作業を完了する。

[ECの発表資料]
[Microsoftの発表資料]
[Yahoo!の発表資料]