長崎県の自治体クラウドサービスのイメージ(県の発表資料より引用)
長崎県の自治体クラウドサービスのイメージ(県の発表資料より引用)
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長崎県の自治体クラウドサービスの展開スケジュール(県の発表資料より引用)
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 長崎県は2010年1月13日、同県が運営している「自治体クラウドサービス」の今後の展開方針を発表した。県内の自治体だけでなく、県外にも提供し全国展開を目指す。「自治体がクラウドサービスを提供するのは長崎県が初めてであり、県外への提供も全国初」(長崎県総務部 情報政策担当 島村秀世氏)という。

 長崎県は2009年12月16日、自治体クラウドサービスを開始した。長崎県で開発、利用している電子県庁システムをネットワークを通じてサービスとして提供するもので、現在、県内の大村市が電子申請システムをクラウドで利用している(大村市の電子申請トップページ)。

 今後の展開方針として、県内自治体の利用拡大を図るだけでなく、他県自治体にもサービスを提供する。「低コストで電子行政を実現することは、地方自治体共通の責務。また、結果として、利用料収入の安定的な確保が図られることにより、その果実を県内自治体の利用料低減、ひいては県民全体の負担軽減につなげていく」(長崎県)。当初は電子申請システムのみだが、今後公共施設予約、電子決裁、グループウエアなども提供していく。

 さらに、利用料収入が安定し、県内の地場IT企業が運営できるようになった段階で、「民間でできることは民間に任せるという観点から」(長崎県)運営を地元IT企業へ移行するとしている。

 利用料金は、電子申請システムの場合、初期設定作業などの費用が85万円、サービス利用料金が住民1人あたり年間10円。

 長崎県では「ながさきITモデル」と呼ぶシステム開発方式を採用している。ながさきITモデルとは、県の職員が詳細仕様書を記述し、適正な大きさに分割して発注、情報システムのコスト抑制と地元IT企業の受注拡大に取り組むもの。またオープンソース・ソフトウエアを活用するとともに、IT企業育成長を目的として長崎県が開発したシステムをオープンソース・ソフトウエアとして公開している。今回クラウドサービスとして提供される長崎県の電子県庁システムは、このながさきITモデルのもとで開発された。すでに徳島県と和歌山県が、長崎県の電子県庁システムの導入を進めている(関連記事1関連記事2)。

 総務省の進める「自治体クラウド実証事業」とは別に開発しており、国の補助金は利用していない。長崎県では「国の補助金は初期構築にかかる費用の補助でしかなく、後年においてサーバーを入れ替える際に必要となる経費や、利用していく上で新たに必要となった機能の経費は補助の対象ではない。補助金に頼らなくても続けていけるクラウドを目指した」(長崎県 情報政策担当 島村氏)としている。

[発表資料(PDF)]