写真●IIBA日本支部で代表理事を務める福嶋義弘氏
写真●IIBA日本支部で代表理事を務める福嶋義弘氏
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 「設立1年目の目標会員数は100人。実際には170人と目標を大きく上回り、ホッとしている。4年後の2012年には会員数3000人を目指す」。IIBA日本支部で代表理事を務める福嶋義弘氏は2009年12月23日、同支部の2009年度年次総会でこう話した(写真)。IIBA日本支部は、要求分析の知識体系「BABOK(Business Analysis Body of Knowledge)」を策定する国際非営利組織IIBA(International Institute of Business Analysis)の日本拠点である。昨年の同日、2008年12月23日に正式に発足した。

 BABOKは、業務改革や情報システム構築・刷新プロジェクトの構想・計画段階で主に実施する要求分析のための知識体系。ビジネス上の課題を明確にして、ITをはじめとするソリューションに橋渡しするのが狙いだ。この作業をビジネスアナリシス(BA)と呼ぶ。

 IIBA日本支部は発足後1年で、BABOKやBAに関する普及・啓蒙活動を展開。並行して、BABOK自体の翻訳、認定資格制度である「CBAP(Certified Business Analysis Professional)認定」を日本で始めるための準備、事例やBABOKを研究する部会の設立、などを進めてきた。12月7日には、BABOKの最新版2.0を翻訳した「ビジネスアナリシス知識体系ガイド(BABOKガイド)Version 2.0」を発売した(関連記事)。

 福嶋氏は中期目標として、「2010年に会員数500人、11年に1500人、12年に3000人」という数字を掲げた。その原動力と期待しているのは、CBAP認定をはじめとするBAに関する認定資格制度だ。CBAP認定はIIBAが2006年9月に始めたもので、書類審査(出願)と試験に合格すると「CBAP」と認定される。CBAP認定を受けたのは全世界で808人(2009年12月3日時点)、日本の合格者はいない模様だ。

 現状では、日本からはCBAP認定試験を英語でCBT(コンピュータによる試験)形式でしか受験できない。しかも、「CBAP認定は業務経験を積んだ中級者が対象」(同支部で認定担当理事を務める中西佳世子氏)で、日本企業にとってハードルは非常に高い。出願の際には「BAの業務に過去10年以内に7500時間従事」といった要件を満たす必要がある。

 そこでIIBA日本支部はCBAPだけでなく、IIBAが2010年半ばをめどに開始する予定の初級者向けのBA認定資格制度を日本語で提供する方向で検討中だ。この初級者向け認定資格試験は「業務経験がない人、例えば学生でも受験できる」(中西氏)という。これが日本語で受験可能になれば、日本企業にとってのハードルはぐっと下がる。ただし、現時点では初級向け認定制度の名称も正確な開始時期も明らかになっておらず、「日本でいつから提供できるかはまだ見えない」と中西氏は話す。

 福嶋氏は認定資格制度のほかに、IIBA日本支部の2010年以降の中期的な活動計画として、支部の組織体制の強化、日本企業に合った形でBABOKを利用するための「BABOK活用ハンドブック」の作成、JUAS(日本情報システム・ユーザー協会)やITコーディネータ協会、ビジネスデザイン推進機構など関連団体との連携強化、東京以外の各地域での分科会設立、などを挙げた。なおBABOKの読み方は、BA(ビーエー)のBOK(知識体系)であることから「ビーエーボック」が正しいとしている。