米Googleの書籍本文検索プロジェクト「Google Book Search」を巡り、フランスのパリ民事裁判所はGoogleによる著作権侵害を認める判決を下した。米英メディア各社が現地時間2009年12月19日に報じたところによると、裁判所は同社に対して30万ユーロの賠償金支払いと書籍の電子化禁止を命じた。Googleは上訴する意向を示しているという。
Google Book Searchは、世界の大規模図書館などの蔵書をスキャンしてデジタル化し、インターネットで全文検索ができるデータベースを作成するというもの。フランスの大手出版グループMartiniereは2006年、「Googleは作品をサイトで閲覧できるようにして、自身は広告主から収入を得ているにもかかわらず、作者や出版社には報酬を支払っていない」として同社を提訴。1500万ユーロの損害賠償を求めていた。
パリ民事裁判所は原告の主張を認める判決を下し、Googleが命令に従わずにフランス書籍の抜粋をデータベースから削除しなかった場合、1日当たり1万ユーロの罰金を科すことも決定した(New York Times、英Reuters)。
今回の判決を受け、Googleは「作品のわずか一部を抜粋して表示し、それによって全文を読みたいと思うユーザーが手軽に書籍を購入できるようになることで、Google Book Searchは業界の役に立っている」と反論。「フランスの読者は今、大いなるナレッジへのアクセスを失い、他国のインターネット・ユーザーからおくれをとるという脅威に直面している」とコメントした(米Bloomberg)。
なお同社は、今回の判決は米国での同プロジェクトに関する和解に影響しないとしている。米国では、同プロジェクトについて米作家団体のAuthors Guildおよび米国出版者協会(AAP:Association of American Publishers)と和解合意したが、和解内容を巡って米国内外から批判の声が上がり、2009年11月に和解案の修正版を裁判所に提出した。修正和解案では、対象とする作品を米国、オーストラリア、カナダ、英国の英語圏4カ国で出版された書籍に限定している(関連記事:「Google Book Search」巡る修正和解案、対象を英語圏4カ国に限定)。