米作家団体のAuthors Guildは米国時間2009年11月13日,米Googleの書籍本文検索プロジェクト「Google Book Search」を巡る和解案の修正版を裁判所に提出した。修正和解案では,同プロジェクトが対象とする作品を,米国,オーストラリア,カナダ,英国の英語圏4カ国で出版された書籍に限定した。

 著作権者が不明の作品については,4カ国の作家や出版業界の代表者で構成される「Book Rights Registry」が収益を10年間保管し,著作権者が確認できなかった場合は,裁判所の判断により4カ国の慈善団体に寄付する,としている。

 デジタル化した書籍による収益の分配率については従来と変わらず,63%を著作権者や出版社に,37%をGoogleに分配することとした。

 Google Book Searchは,世界の大規模図書館の蔵書をスキャンしてデジタル化し,インターネットで全文検索ができるデータベースを作成するというもの。Authors Guildと米国出版者協会(AAP:Association of American Publishers)は,同プロジェクトが著作権侵害に当たるとして2005年にGoogleを提訴したものの,2008年10月に和解した(関連記事:Google,書籍本文検索プロジェクトで出版業界と和解 )。

 しかしこの和解案に反対する企業や団体,個人などが「Open Book Alliance」を立ち上げるなど(関連記事:Google Book Searchの和解案に反対する団体が正式発足,MSやYahoo!も参加),米国内外から批判の声が上がっていた。

 Open Book Allianceは,修正案の提出に先がけて2009年11月6日に,和解条件に盛り込むべき最低基準を示していた(関連記事:「Google Book Search」を巡る和解案に反対団体が最低基準を示す)。今回の修正案を受けて,「根本的に,Googleとそのパートナーが利益を得る仕掛けになっていることに変わりはない。修正案は小手先のごまかしであり,米司法省や世間の批判が指摘してきたことを,何も解決していない」とのコメントを発表した。

[発表資料(Authors Guildのプレス・リリース)]
[発表資料(Open Book Allianceのプレス・リリース)]