写真1●IETF会場内に用意されたネットワーク設備の一部
写真1●IETF会場内に用意されたネットワーク設備の一部
[画像のクリックで拡大表示]
写真2●関連ベンダーから貸し出してもらったという山のようなネットワーク機器
写真2●関連ベンダーから貸し出してもらったという山のようなネットワーク機器
[画像のクリックで拡大表示]
写真3●IETF会場で利用されているRFIDタグとリーダー
写真3●IETF会場で利用されているRFIDタグとリーダー
[画像のクリックで拡大表示]

 「日本は世界的に見てもブロードバンドが普及した国。せっかく日本でIETFをやるのだから,会場のネットワークでも日本らしいユニークな取り組みがしたい」(IETFスタッフ)――。2009年11月8日から13日にかけて,IETF広島会議が開催されている(関連記事)。ネットワーク関連の国際会議らしく,会場となったANAクラウンプラザホテルには,有線/無線の接続が完備されている。IETF会場に小さな即席のISPが登場したようなイメージだ(写真1)。

 IETF向けに用意された無線LANアクセス・ポイント,LANスイッチはそれぞれ50台ほど(写真2)。アクセス回線は伝送速度が1Gビット/秒で,NTT西日本の「ビジネスイーサ ワイド」を使っている。大阪のIXや,地方のプロバイダを経由して,インターネットに抜けるネットワーク構成だという。「ホテルの滞在客のアクセスと,IETF参加者のアクセスを別々に用意するのは大変に手間がかかる。そこで,IETF期間中はホテルの滞在客に提供するインターネット接続を,一時的にIETF向けの設備に巻き取っている」(IETFスタッフ)。ホテル内のネットワークをIETFが“乗っ取った”ような形になっているわけだ。「IETF会場内でどこでもインターネットを使える環境は,4~5年前から実現している。ただ,高速なアクセス回線を比較的容易に手配できるのは,日本ならでは」(IETFスタッフ)。なお会場内のネットワークは,すべてIPv6に対応している。

 もう一つの特徴は,RFIDタグ(写真3)を使って会議をスムーズに進行する取り組みだ。参加者は会場内で,自分の登録情報をひも付けたRFIDタグを受け取る(希望者のみ)。各会議室にはタグのリーダーが用意されており,RFIDタグで出欠の確認ができる。会議室で発言するためのマイクの前にもリーダーがあり,発言者がタグを当てると,前面のスクリーンに発言者の名前と所属などが表示される。誰がしゃべっているか一目でわかるというわけだ。また,タグの情報を編集できる個人向けのWebページが用意されており,参加者はスクリーンに表示されるプロフィールに写真を追加したり,自分の出席した会議を確認したりできるという。

 そのほか,市内にIETFの情報を表示するデジタル・サイネージを設置。海外からの参加者向けに,路面電車の情報やレストラン情報などを提供しているという。先述のRFIDタグと連携して,ベジタリアンの参加者向けに適切な店を案内するなどの機能を持たせている。