米Googleが書籍本文検索プロジェクト「Google Book Search」を巡って米出版業界団体らと策定中の和解案に反対する企業や団体,個人などの連合「Open Book Alliance」は,米国時間2009年11月6日,この和解案の修正に際し盛り込むべき最低基準を示した。Googleと作家団体「Authors Guild」および米国出版者協会(AAP:Association of American Publishers)は,和解条件の修正案を11月9日に提出する予定である。

 図書館関係者,法学者,作家,出版社のほか,米Amazon.com,米Microsoft,米Yahoo!なども参加するOpen Book Allianceが掲げた最低基準には,「Googleに一連の独占的権利を与えてはならない」「世界で最大規模のデジタル書籍配信データベースの管理を単一団体に委託するようなことがあってはならない」「Googleがスキャンした作品について,作者や著作権保持者はその使用に関する決定権を維持するべき」など,8項目が含まれる。

 Google Book Searchは,世界の大規模図書館の蔵書をスキャンしてデジタル化し,インターネットで全文検索ができるデータベースを作成するというもの。Authors GuildとAAPは,同プロジェクトが著作権侵害に当たるとして2005年にGoogleを提訴したものの,2008年10月に和解した(関連記事:Google,書籍本文検索プロジェクトで出版業界と和解 )。

 問題となっている和解案には,Googleが総額1億2500万ドルを支払うことのほか,デジタル化された作品の著作権保持者が登録するレジストリ「Book Rights Registry」の構築,著作権保持者が分からない“孤児作品”(orphan books)の提供,などが含まれる。

 和解案を承認するかどうかを判断する最終審理は,当初2009年10月7日に開かれる予定だった。しかし批判の動きが強まっていることから,Authors GuildとAAPは9月22日に審理の延期を申請した。9月初旬の時点で,Open Book Allianceのほか,個人や企業,あるいはドイツやフランスなどの米国外から約400にのぼる異議,参考意見,声明などが寄せられ,米司法省も和解案の見直しを求める意見を9月18日に裁判所に提出していた(関連記事:「Google Book Search」を巡る和解案,最終審理が延期へ)。

[発表資料へ]