米Googleの副社長兼中国事業社長を辞任したKai-Fu Lee氏が中国で現地時間2009年9月6日,新たな起業支援事業を立ち上げた。会社名は「Innovation Works」。中国市場におけるインターネット,モバイル・インターネット,クラウド・コンピューティングなどの技術の発展に焦点を当てる。

 中国企業への投資を手がけるWI Harper Groupを中心としたベンチャ・キャピタルのグループから1億1500万ドルの資金提供を受ける予定。Google傘下のYouTubeの共同設立者であるSteve Chen氏も出資に参加する。

 Kai-Fu Lee氏は,Innovation Worksの会長兼CEOを務める。同社では,有望なアイデアを募集し,分析して優先付けし,実現に導くためのドリーム・チームを構成するとしている。起業家のアイデア検証,外部からの資金獲得,企業としての独立を支援する。

 Lee氏によれば,中国の起業環境はまだ形成途上だ。経営経験や指導者の不足,初期段階の会社への低い投資意欲など,起業家にとって障害は多い。「Innovation Worksは,起業家,エンジニア,発想,資本を独自のビジネス・モデルで結びつけ,事業の成功率を高め,製品やサービスの市場投入時間を短縮する」(同氏)。

 Lee氏は1990年に米Appleに入社。そこでインタラクティブ・メディア・グループ担当バイス・プレジデントとしてQuickTimeなどの技術を開発した。1996年に米Silicon Graphicsへ移りWebプロダクツ部門のバイス・プレジデントを務めた。1998年に米Microsoftに入社し,アジア研究部門Microsoft Research Asiaを立ち上げた。2000年にコーポレート・バイス・プレジデントに昇格し,.NET事業を率いた。

 2005年にMicrosoftを離れ,Google Greater China社長に就任した。同氏がGoogleに移籍する際,同氏とMicrosoftとの間で交わした契約に違反するとして,MicrosoftがGoogleとLee氏を訴えたが,最終的に条件付きで移籍が認められた(関連記事:米上位裁判所が元米Microsoft幹部の米Google移籍を認める,ただし職務は制限)。

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