米Googleによる元米Microsoft幹部の採用を巡る訴訟に関して,ワシントン州上位裁判所が同幹部のGoogle社への移籍を認めた。Google社法務顧問代理のNicole Wong氏が米国時間9月13日にブログの投稿記事で明らかにしたもの。

 Google社は7月19日に,中国に研究開発センターを新設する計画を発表。同センターの責任者には元Microsoft社幹部のKai-Fu Lee氏を任命した。Lee氏は音声認識および人工知能分野の研究で知られる人物。Microsoft社でNatural Interactive Services部門のコーポレート・バイス・プレジデントを務め,1990年代後半に同社の中国研究所Microsoft Research Chinaを立ち上げた。

 ところがMicrosoft社は,同氏のGoogle社入社が,Microsoft社と同氏が交わした従業員の機密保持および非競合に関する契約に違反すると主張し,Google社とLee氏を相手取って訴訟を起こした。

 裁判所は,「同氏の転職により事業に影響を受けかねないとするMicrosoft社の懸念に正当な根拠がある」と認め,7月28日に,同氏のGoogle社移籍を一時的に差し止める命令を下していた(関連記事)。

 Google社によると,2日間にわたる審問が先週行われた結果,裁判所は「Microsoft社が,本審理までの期間に,Lee氏に対してGoogle社の中国研究開発センター確立と人材採用に携わることを禁止するに足りる明確な法的および公正な権限を十分に示していない」として,同氏がGoogle社で勤務することを認める仮命令を言い渡した。「いくつかの制限はあるが,基本的に,同氏は当社が要請していた職務に付くことができる」(Google社)

 一方Microsoft社も,今回の判決について「主張が通った」とする声明を同日発表している。Microsoft社によれば,裁判所は同氏のGoogle社移籍を認めたものの,同氏が音声技術,自然言語および検索技術に関する業務のほか,Google社中国事業の研究開発方針全般の定義に参加することを禁じているという。

 なお,本審理は2006年1月に行われる予定。

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[発表資料(Google社のブログ)]
[発表資料(Microsoft社のプレス・リリース)]