総務省の情報通信行政・郵政行政審議会は2009年7月16日,NGN(次世代ネットワーク)のIPv6インターネット接続に係る接続約款変更案に対して寄せられた再意見を公開した。再意見は,1回目の意見(関連記事)が公開された6月30日から7月13日までの間に募集された。
今回の接続約款変更案は,NTT東日本とNTT西日本が総務大臣に対して認可を申請しているもので,「トンネル方式」と「ネイティブ方式」の2方式から成る。トンネル方式は既存のIPv4インターネット接続とほぼ同様の構成になるが,「アダプタ」と呼ばれるIPv6トンネル機能とIPv6 NAT(network address translation)機能を備えたIPv6対応ブロードバンド・ルーターを新たに設置する必要がある。一方の「ネイティブ方式」は,既存のNGN向けホーム・ゲートウエイ(HGW)をそのまま使えるが,NGNと直接接続するのは最大3社の「ネイティブ接続事業者」に限られ,ほかのインターネット接続事業者(ISP)は接続事業者のローミング・サービスを利用することになる。
2回目となる今回は,全部で27件の再意見が提出された。1回目の12件に比べると大幅に増えている。具体的な提出者は以下の通り。
(ソフトバンクBB,ソフトバンクテレコム,ソフトバンクモバイルの3社,イー・アクセス,イー・モバイルの2社はそれぞれ同じ内容を提出)
再意見を提出した大半はISPで,主に1回目に寄せられたネイティブ方式の問題点を指摘する意見に賛同する内容となっている。さらに今回は,NTT東日本およびNTT西日本が,1回目の意見に対して同社の意見を提示した。主にトンネル方式およびネイティブ方式に対する問題点の指摘に対しての反論で,同社が最初に提出した約款変更案を擁護する内容となっている。ただし,指摘された点を認めている内容もある。
NTT東西の再意見の内容は基本的には同じだが,KDDIが1回目に提出した意見の一つに対して,異なった回答を示している。KDDIは,FTTHのアクセス部分とIPトランスポートのNGNを一体で運用すること自体がそもそも問題であり,NTT東西の組織形態の見直しが必要との意見を提出した。これに対してNTT東日本は,KDDIの指摘内容は,今回の約款変更案とは無関係だと述べるのにとどめた。これに対しNTT西日本は,同様にKDDIの指摘内容と約款変更案は無関係と指摘したうえで,KDDIの主張に対して図解を用意して反論している(図1)。
なお,今回の再意見では,ソフトバンクBB,ソフトバンクテレコム,ソフトバンクモバイルの3社は,上記のKDDIの意見に賛同を示したうえで,NTT東西の業務範囲規制の形骸化を問題視し,NTTの組織問題の議論を早急に開始すべきと主張している。
今後のスケジュールとしては,7月28日に開かれる電気通信事業部会の接続委員会において,1回目と2回目の意見をどのように約款変更案に反映させるかを審議する。その結果を受け,8月6日に開かれる電気通信事業部会で答申が出される予定である。
次ページでは,1回目に寄せられた意見に対してNTT東西が今回提出した回答の一部を要約してまとめた。