図 実験の構成外洋
図 実験の構成外洋
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 3セグメントを利用したマルチメディア放送の推進に向けた活動を進める「マルチメディア放送ビジネスフォーラム」は2009年5月12日,第4期第2回総会を開催した。この中で,各WGが活動成果の報告が行われた。

 マーケティングWG(エフエム東京,フェイス,CSK-IS,ユニークラボが参加)は福岡のユビキタス特区における実証実験の報告を,同WGリーダーである高藤丈也氏(ユニークラボ代表取締役)が行った。この実証実験では,デジタルラジオの「視聴率(動画や静止画を表示して音声を視聴)・聴取率(画像を表示せず音声のみを視聴)・通信率(放送コンテンツに紐づいた情報を通信で取得)」の取得システムを構築した。「リアルタイムでの番組の視聴率・聴取率」「視聴・聴取人数」「通信率,広告をクリックした数(CTR),クリックコスト(CPC),会員登録率,資料請求などの応募率」などが把握できるようになるという。

 この実証実験では,コンテンツとして「恋する血液型」(男女の計16パターンの血液型にまつわるラブストーリ)を利用したした。BML画面(放送)で登録や番組の紹介,血液型の選択などを行うと,webサイト(通信)に飛びストリーミング形式で選んだコンテンツが視聴できる。6人の被験者の協力を仰ぎ,実際に「放送を受信し,放送番組を視聴し,BMLを閲覧クリックしwebコンテンツを閲覧しwebリンクをクリックする」という,通信・放送の連携時代における複合的な行動を,包括的・一元的にデジタルデータとして把握できるを確かめた。

 今回の実験の結果を踏まえて,今後想定されるデータのアウトプットの例として,(1)年齢別の視聴率と通信率,(2)番組視聴率と通信を使ったCTR・CPCの把握(通信率とwebからの商品購入・会員登録・資料請求・応募までのレートを算出),(3)新規視聴者数,リピート視聴者数およびその比率などを挙げた。

 同WGは,今後の展開として,マーケティングサービスの実証,システム構築,データ精度の向上を挙げた。また,新たにインデックスがマーケティングWGに参加することになり,「携帯端末でのビジネスモデル構築に発展」させることに強い意欲を示した。

このほか,主要WGの報告概要(今後の予定を含む)は以下の通り。

<放送波ダウンロードWG>
・今後の予定として,2009年6月に「参加メンバー(エフエム東京,KDDI,西鉄エージェンシー,レーベルゲート)と連携した課金用放送波DLデータの放送」,2009年7月以降に「福岡地区で実施されるコンサートチケット販売との連動実験」を挙げた。また,検討課題として,インディーズ系音楽課金DL,音楽データ以外のデジタルデータ課金DLなどを挙げた。

<5.1chサラウンドラジオWG>
・第5期に向けて,車載プロトタイプの試作などを計画する。MPEGサラウンド技術を推進しており,世界におけるMPEGサラウンドの取り組み状況なども紹介した。

<緊急地震速報WG>
・福岡実証実験の結果として3.16秒かかった時間をいかに短縮するか,を課題に挙げた。システムの最適化などを進めることで,2秒もしくは1秒台は可能だろうと報告した。

<デジタルサイネージWG>
・公共(野外やバス・電車などに設置する大型ディスプレイなどを想定,不特定多数が対象)とパーソナル(携帯端末や家庭,タクシーなどを想定)のそれぞれで検討を進めている。第5期は,「共通仕様の策定」(ドキュメント化とパソコン表示アプリケーションを開発など),「ビジネスモデル構築」「コンテンツの検討,制作,配信実験」「表示端末の検討」「運用検討」などを予定する。

<ライブ映像道路情報リアルタイム配信WG>
・福岡ユビキタス特区において,2009年2月から1地点の道路カメラの映像を放送波に乗せて配信を開始した。今後は,ストリーミングによる複数カメラによる映像の配信,蓄積も組み合わせた複数映像カメラによる映像配信などを予定する。

<IPDC WG>
・誤り訂正を加味した実際の伝送レートを測定し,どの程度のコンテンツを配信可能か検証した結果を報告した。3セグメントでの最大伝送容量を624kbpsとして,情報レートと463kbps以下(IP化によるオーバーヘッドが10%,FECによるオーバーヘッドが30%)と推定した。今後の課題として,モビリティの検証と,IPDC用ビューワの開発を挙げた。

<BMLスクールWG>
・2009年1月および2月に実施したスクールの結果報告などを行った。

<地方ブロック向けマルチメディア放送WG>
・別掲記事を参照(関連記事)。