2009年5月12日午前10時30分ごろに東京工業品取引所の取引システムがダウンした原因は、取引注文を処理するシステムと取引参加者をつなぐネットワーク上のルーターにあったことが分かった。ルーターのプロセサの利用率が99%に達し、動作が不安定な状態に陥った(関連記事1関連記事2)。

 この日の取引件数は増加傾向にあったものの、ルーターが過負荷状態に陥るほどではなかったとみられる。このことから、ルーターに何らかの問題が発生し、それが原因で負荷が高まった可能性が高い。東工取はルーターのログを解析するなどして、過負荷状態に陥った原因の究明を続ける。ルーターはシスコ製。取引システムの構築を担当したNTTデータが設定・納入した。

 東工取は5月7日にスウェーデンのOMXテクノロジー製パッケージソフトを採用した新しい注文処理システムを稼働させている(関連記事3)。この注文処理システムには異常は見つかっていないようだ。トラブルが起こったルーターは、新システムの稼働に先駆け2月9日から稼働させており、この日までは正常に動作していたという。

 トラブルは5月12日の10時30分ごろに発生。東工取は11時35分に全商品の取引を停止した。その後、原因究明のために過負荷状態に陥ったルータを再起動するなどして様子を見た。その結果、ルーターの過負荷状態が解消し正常な状態に戻ったため、午後2時10分に取引の再開を決定。2時30分から注文受付を開始し、3時に取引を再開した。3時30分に日中の取引を終了した後、5時からは通常どおり夜間取引を開始している。

 午後5時30分時点で「システムは順調に稼働している」(広報)が、ルーターの内部部品やソフトを入れ替えたり設定を変更したりはしてないため、トラブルが再発する可能性は否定できない。このことから、東工取は動作状況について慎重に監視を続けている。