写真●マイクロソフト インフォメーションワーカービジネス本部 ビジネスオンラインサービスグループ マネージャの磯貝直之氏
写真●マイクロソフト インフォメーションワーカービジネス本部 ビジネスオンラインサービスグループ マネージャの磯貝直之氏
[画像のクリックで拡大表示]

 マイクロソフトは2009年3月10日,Officeのサーバー機能をSaaS(Software as a Service)型で提供する企業向けオンライン・サービス「Microsoft Online Services」を公開した。当初は日本語ベータ版という形で公開し,2009年4月中に正式サービスに移行する予定である。利用登録した企業は,正式サービス開始後30日間まで無償で利用できる(最大20ユーザー)。

 Microsoft Online Servicesは,企業が情報共有のために使う機能をインターネット上のオンライン・サービスとして提供するもの。米国では2008年11月から公開を開始している。メールやスケジュールなどを共有するExchange Server相当の「Exchange Online」,文書共有や社内ポータルを実現するOffice SharePoint Server相当の「Office SharePoint Online」,インスタント・メッセージング通信やプレゼンス管理機能を提供するOffice Communications Server相当の「Office Communications Online」,Web会議を実現する「Office Live Meeting」の4つのサービスで構成する。

 マイクロソフトが今回公開するのは,このうちOffice Communication Onlineを除く「Exchange Online」「Office SharePoint Online」「Office Live Meeting」の3つ。各サービスは単体でも利用できるが,ベータ版の段階ではこれらのサービスをまとめたスイート版である「Microsoft Business Productivity Online Suite(BPOS)」の形でのみ提供する。日本語ベータの利用登録はマイクロソフトのWebサイトから実行する。

 Microsoft Online Servicesでは,「Standard」と「Dedicated」の2つの運用形態を用意する。Standardは同一のサービス・メニューを複数のユーザーで共有する運用形態である。もう1つのDedicatedは,ユーザーごとに個別のサービス・メニューを用意する運用形態である。Standardの方が費用対効果が高く導入に要する期間やユーザーの追加が簡単である。一方,Dedicatedでは専用線を引くなど,自社運用サーバーのように細かいカスタマイズが可能だ。「IT管理コストの削減や,導入の俊敏性など,Microsoft Online Servicesの恩恵をより多く受けるのはStandardの方だ。特に日本ではStandardがメインになるだろう」(マイクロソフト インフォメーションワーカービジネス本部 ビジネスオンラインサービスグループ マネージャの磯貝直之氏,写真)。

月額料金は1500円~1600円,稼働率95%未満で100%返金

 Microsoft Online Servicesのライセンスは,ユーザーごとに課金する月額単位のサブスクリクション・モデルを採用している。日本での利用料金は未定だが,現在米国で提供している価格と同程度になる予定だ。スイート製品のBPOSの場合で米国での月額利用料金は15ドル。「日本では1500円から1600円の間くらいを想定している」(磯貝氏)。社内で運用しているExchangeやSharePointのサーバーがある場合には,これらのアカウントと統合することが可能で,同一のアカウントでMicrosoft Online Servicesのサーバーと社内サーバーの両方にアクセスできる(社内サーバーを利用するためのライセンスは別途購入することが必要)。

 同日,Microsoft Online Servicesのサービスレベル契約(SLA)の概要も発表された。同サービスのSLAでは,Exchange Onlineの電子メール稼働率99.9%,Office SharePoint Onlineのサイト稼働率99.9%,Office Communications Onlineのプレゼンス稼働率99.9%を保証する。実際の稼働率が保障稼働率を下回った場合は未達率に応じて利用料金を返金する(関連記事:日本におけるMicrosoft Online ServicesのSLA方針を明らかに)。稼働率99.9%未満で25%,99%未満では50%,95%未満では100%を返金する。