米MicrosoftのExchange Serverチームがまたもや新情報を提供してくれた。同社Exchange担当プログラム・マネージャのKC Lemson氏が2009年2月12日(米国時間),同チームの公式ブログでメッセージング/コラボレーション・サーバー製品であるExchange Serverの次期版「Exchange 14」(開発コード名)に関する追加情報とデモンストレーション・ビデオを公開したのだ。最大のニュースは,Exchange用Webインタフェース「Microsoft Outlook Web Access(OWA)」が,Internet Explorer(IE)以外のWebブラウザ「Firefox」「Safari」に完全対応するという情報だろう。Lemson氏は,Webメール・クライアントのインスタント・メッセージング(IM)機能搭載と,メールのスレッド表示モードというExchange 14の新機能も紹介した。

 Lemson氏は「Exchange Severは,オープン性をDNAに含む形で脈々と受け継いできた。この事実は,当社が分け隔てなくパートナとライバル企業に同期技術『Exchange ActiveSync』をライセンス供与していることから分かるはずだ」と書いた(関連記事:「Google Sync」でWindows MobileやiPhoneとの予定/アドレス帳同期が可能にMicrosoft,Exchange ActiveSyncのライセンス・プログラムを拡大)。Exchange Severの次版では,そのオープン性の対象が米Mozilla FoundationのFirefoxと米AppleのSafariにも広がる。つまり,OWAの全機能がこれらのWebブラウザから使えるようになる。IE以外のWebブラウザを使っていても,機能制限版である「OWA Light」の使用を強いられずに済む。

 デモ・ビデオでは,FirefoxとSafariを使いながら,それ以外の新機能も紹介している。たとえば,OWAでアドレス帳とメール・メッセージからプレゼンス情報を確認できるようになる。また,WebクライアントにIM機能が組み込まれ,アドレス帳で相手を選んで右クリックするだけで,IM用Windowを開いてやり取りを始められる。

 メール受信ボックスの収拾がつかなくなっているユーザーは,スレッド表示モードを大歓迎するはずだ。このモードを選ぶと,同じ話題のメールを1行にまとめて表示できる。話題内の各メールにアクセスするには,行を展開すればよい。削除済みと送信済みのメールも1つの話題として表示されるため,ダブルクリックすれば自分の発言を確認できるので便利だ。古いメールに返信すると話題が分岐するが,スレッド表示もこれに応じて枝分かれする。

 操作性は,Firefox,Safari,IEのどれを使ってもほとんど変わらなそうだ。どのWebブラウザでも,そっくりなユーザー・インタフェース(UI)が現れる。OWAは「Outlook Live」の名称変更版となり,Webクライアントの豊富な機能をアピールするだろう。これら新機能,特にマルチWebブラウザ対応は,間違いなくユーザーに受け入れられる。

 Lemson氏のブログ記事とデモ・ビデオを見てほしい。そして,重要と思う機能をExchange 14チームに知らせよう。また,詳しく知りたい機能があれば今後記事でとりあげるので,当記事にコメントを残してもらいたい。

 以下に関連記事(英文)へのリンクを掲載しておく。

・「Exchange 14 Announced」(「Exchange 14」発表)
・「Exchange 14 and the Cloud」(「Exchange 14」とクラウド)
・「Next Version of Exchange Named Exchange 2010?」(次期「Exchange」の製品名は「Exchange 2010」か?)
・「Exchange's Evolving Strategy」(「Exchange」の進化する戦略)
・「Microsoft Exchange Server and PowerShell:The Debate Continues」(「Exchange Server」と「PowerShell」:終わらない議論)