写真1●米サイビームのジョン・E・リモンチェック プレジデント兼CEO
写真1●米サイビームのジョン・E・リモンチェック プレジデント兼CEO
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写真2●WirelessHDの制御ボードを搭載したアダプタ
写真2●WirelessHDの制御ボードを搭載したアダプタ
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写真3●CESの展示会場で東芝が展示していたWirelessHDアダプタ
写真3●CESの展示会場で東芝が展示していたWirelessHDアダプタ
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 通信関連の半導体開発をしている米サイビームは2009年1月8日から開催されている2009 International CESに合わせて,テレビに高精細映像を無線送信するための新方式「WirelessHD」(関連記事)に対応した制御ボードを関係者に公開している。チップ上に複数の小型アンテナを実装するマイクロアレイアンテナ技術で安定性を高め,通信する機器間に障害物があっても問題なく通信できる仕組みとした。

 WirelessHDに対応した制御ボードの通信速度は,最大4Gビット/秒。1080pの高精細映像を送信するには3.5Gビット/秒程度の帯域が必要だが,画像を圧縮せずに送信できる。「画像を圧縮して無線送信する方法では,圧縮/解凍の処理が必要となるため,動きの速いゲームを楽しむといった場合に不具合がある」(ジョン・E・リモンチェック プレジデント兼CEO,写真1)。

 展示スペース内では,制御ボードを搭載した専用アダプタを使って,HDレコーダの高精細映像やパソコンで実行するゲームの画面をテレビ側に無線送信する様子を見せていた(写真2)。

 制御ボードは今月にも機器メーカーの出荷に向けて量産体制に入る。2009年夏以降には,パナソニックなどから対応製品が登場する見込み。CESの展示会場でも,東芝がWirelessHD対応アダプタを展示するなどメーカー側も製品化に向けて積極的に開発を進めている(写真3)。「制御ボードは無線制御のチップ,アンテナ,HDMIインタフェースも含んでいるため,メーカーは製品へ簡単に実装できる」(リモンチェック プレジデント兼CEO)。

 60GHzの電波は直進性が強く,通信する機器間に障害物があると通信が途切れやすいという特性がある。そのため,通信制御チップの上部に小型のアンテナを複数配置する設計とした。それぞれのアンテナから出る電波に調整を加えることで,電波が飛ぶ方向を制御できるようにした。200ミリ秒ごとに電波を確認しており,機器間に障害物がある場合は,例えば,壁に反射するルートなどを自動選択する。