写真●SPARC Enterprise M3000
写真●SPARC Enterprise M3000
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 富士通と米サン・マイクロシステムズは2008年10月28日、両社で共同開発するUNIXサーバー「SPARC Enterprise」の新モデルを販売開始すると発表した。CPUのソケットを一つのみにするなど機能を絞ることで低価格化を実現し、導入を容易にした。

 名称は「SPARC Enterprise M3000」。主に、生産が終了した富士通のPRIMEPOWER 250/450やサンのSunFire V245/V445の置き換え需要と、すでにM4000などの上位モデルを導入しているユーザーの新規開発案件などでの需要を見込む(関連記事)。

 M3000はクアッドコアプロセサ「SPARC64 VII」を一つ搭載する。従来機のPRIMEPOWER 250/450は1コアのCPUを利用。ソケットの数は250が二つ、450が四つである。250のユーザーや450を2CPUで使用しているユーザーが、CPU課金のライセンス体系を持つソフトウエアを使用している場合、そのままM3000へ移行するとコア四つ分が課金対象となってしまう。そのため、M3000ではSPARC64 VII)が備える4コアのうち2コアのみを使用することを可能にした。

 新製品について富士通の佐々木一名グローバルシステムビジネス統括部プロジェクト統括部長は「Solarisを扱った経験があり、信頼性などの点でデータベースサーバーやアプリケーションサーバーにSolarisサーバーを利用したいが、従来のラインナップでは処理性能が高すぎると考えているユーザーの獲得を狙った製品」と語る。

 従来、富士通がPRIMEPOWER 250/450の置き換えなどをユーザーに提案する場合、M4000以上のモデルでサーバー統合を薦めたり、高いスループット性能を持ちWebサーバーを主な用途とする別ラインナップのSPARC Enterprise Tシリーズを提案したりしていたという。だが、「部門サーバーを残したいという需要が根強くあったり、Tシリーズではバッチ処理に時間がかかりすぎてしまうなどの声があった」(富士通の佐々木部長)。

 オフィスへ設置するケースを想定した省スペース化や静音性も特徴の一つ。M3000をPRIMEPOWER 450と4コアで比較した場合、DBサーバーのオンライントランザクション処理の性能は約1.2倍だが、大きさは2Uと半分だ。動作音は47デシベルで、標準的なオフィスの騒音50デシベルを下回る。消費電力についても、従来機種に比べて50%削減したという。

 M3000の価格は210万円から。今までの最下位機種だったM4000は最大4CPU搭載で価格は675万円からだった。販売目標は2009年3月までに1000台程度を見込む。販売は富士通とサンがそれぞれ行う。