全米放送事業者協会(NAB:National Association of Broadcasters)とテレビ・サービス協議会(MSTV:Association for Maximum Service Television)をはじめとする放送業界の団体は米国時間2008年10月17日,米連邦通信委員会(FCC)がいわゆる「ホワイトスペース」と呼ばれる周波数帯域の開放に好意的な姿勢を示していることに異議を唱え,公開意見を募るよう要請を申請した。
 
 申請書類(PDF書類)によると,FCCの工学技術局(OET:Office of Engineering and Technology)は10月15日に,ホワイトスペースの干渉などに関する実験結果をまとめた400ページにわたる報告を発表した。同時にFCC議長のKevin J. Martin氏が記者会見で,ホワイトスペースの開放を承認する方向で投票に臨むと語ったという。

 FCCは同日中に,11月4日の公開ミーティングで協議する議題に,ホワイトスペースに関する第2次報告および指令(Second Report and Order)などを含めていることを明らかにしている(関連記事:FCCがホワイトスペース開放を協議へ,GoogleとMSは歓迎のコメント)。

 これに対し,NABとMSTVのほか,米ABC,米NBC,米CBS,米Fox Television Networksなどのテレビ・ネットワーク,地上波放送事業者によるモバイル放送関連団体Open Mobile Video Coalition(OMVC)は,FCCの進め方が標準的規範に沿っていないと抗議。今回,OETの報告書について一般から意見を募るよう求めた。

NABなどは,FCCが報告書の要約においてホワイトスペース使用が問題ないように結論づけているが,実際の詳細な実験結果からは,深刻な問題が考えられると懸念を示している。たとえば,ホワイトスペースで利用するデバイスは,空いている周波数を検知するspectrum sensing技術を採用するが,肝心のspectrum sensing技術の信頼度が低いと指摘している。

 ホワイトスペースとは,地上アナログテレビ放送で確保していた空き帯域のこと。デジタル放送では電波干渉が軽減できるようになったため,アナログ放送のように空き帯域を確保する必要性が低くなる。全米規模で利用でき,ネットインフラが行き届いていない地域もカバーできる上,通信速度が速いといった好条件もそろっていることから,これを免許不要の電波としモバイル機器に利用できるようにすべきだとして,米Googleなどが積極的に開放を働きかけている(関連記事:Google,「ホワイトスペース」開放を訴えるキャンペーンを開始)。

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