写真1●業務用PCの動向について語るエム・アイ・ネットワークの伊勢 雅英氏
写真1●業務用PCの動向について語るエム・アイ・ネットワークの伊勢 雅英氏
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写真2●レノボ・ジャパンの小型PC「ThinkCentre M57 Eco Ultra Small
写真2●レノボ・ジャパンの小型PC「ThinkCentre M57 Eco Ultra Small
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 「これからの業務用PCに必須なのは運用管理、セキュリティ、そしてエコロジーだ」。PCの動向を調査しているエム・アイ・ネットワークの伊勢 雅英氏はこう語る(写真1)。伊勢氏は2008年10月16日、「ITpro EXPO 2008 Autumn」展示会場内に設置された「Trusted Client PCパビリオン」で講演。業務で使うPCを選択・導入する際のポイントを紹介した。

 「業務に必須の道具となったPCにトラブルが発生したときにいかに素早く復旧するか。運用管理のしやすさは、仕事で使うPCに必須の要素だ」(伊勢氏)。セキュリティについては「法律の整備や情報漏えいに対するリスクが高まっている」と強調。データを暗号化処理したり、ネットワーク経由で遠隔消去したりできるような機能を搭載するPCが望ましいとした。

 最後のエコロジーについて伊勢氏は「照明や紙の消費量に気を配る企業は多いが、PCの消費電力に気を配っている企業は少ない」と指摘。「消費電力量の少ないPCを使うだけで、CO2の排出量を大きく削減できる」とした。

運用管理やセキュリティ、環境性能をアピールするPCが勢ぞろい

 Trusted Client PC パビリオンには、PC管理技術「vPro」の開発元であるインテルのほか、PCメーカーやソフトメーカーが各種製品を展示している。いずれのブースも、伊勢氏が指摘した運用管理やセキュリティ、環境性能といった点をアピールした。

 エプソンダイレクトやレノボ・ジャパンは消費電力量を削減した小型PCを展示した(写真2)。例えばレノボ・ジャパンの「ThinkCentre M57 Eco Ultra Small」は、アイドル時の消費電力が41.7W。既存機種「ThinkCentre S50」は100.3Wだったという。パナソニックはvPro機能を搭載した最新型のノートパソコン「Let'snote F8」を出展した。

 クオリティ、サイトロック、JALインフォテック、日立製作所、富士通四国システムズ、マイクロソフトはPCの運用管理ソフトを展示。多くの製品がvProを使ったPCのリモート管理機能を搭載。ネットワーク経由でPCの電源をオンにして修正パッチを適用したり、OSに不具合をきたしたPCを再起動しOSを再インストールしたりといった、vPro搭載PCとの組み合わせではじめて可能になった操作をアピールした。

 サイトロックやJALインフォテックの担当者は「システムを運用管理する現場では、電源操作機能の潜在的なニーズは高い。PCの電源がリモートで操作できるだけでも、現場の作業は相当効率化できる」と説明する。

 ウティマコ セーフウエアや日本イントラネットはセキュリティ関係のソフトやサービスを展示した。ウティマコが出展したのはPCの盗難・紛失対策ソフト「SafeGuard Enterprise」である。PCのハードディスクやUSBメモリー内にあるデータを暗号化。ユーザーごとのセキュリティ強度など各種の設定を一元管理できる。日本イントラネットはNTT東西会社のNGNを使ったシンクライアント・サービスを参考展示した(日本イントラネットの関連記事)。

 東芝はvProを基盤に使った仮想化技術「vRAS」を展示した。vRASの特徴は、PC内に仮想的に動作する領域を設け、パソコンのデータを集中管理すること。ノートPCを許可なく社外に持ち出した場合にはデータを見えなくする、逆に持ち出す場合はある期間内だけデータが利用できるようにするなど、安全性と利便性の両方を考慮したPCの管理が可能になるとしている(vRASの関連記事)。

 冒頭で紹介した伊勢氏はテクニカルライターとしてPCやストレージ分野を追っているほか、ITベンダーのアドバイザーやPCアーキテクチャの講師としても活動中。日経BPのWebサイト「EnterprisePlatform」では業務用PCの技術動向記事を掲載している(伊勢氏の連載記事)。