東芝は,2008年10月15~17日に東京ビッグサイトで開催中の「ITpro EXPO 2008 Autumn」において,独自開発した仮想マシン・ソフト「vRAS」を活用したソリューションを参考出展している。個々のクライアントに導入したvRASをひとまとめにして仮想ファイル・サーバーなどとして利用できるようにする「Virtual Group Computing System」(写真右)と,サーバー不要の運用管理ソフト「PC運用上手SS」(写真左)である。いずれもサーバー機を別途用意することなく,クライアント1台から利用を始められるのが特徴だ。
vRASは,東芝がXenをベースに独自開発した仮想マシン・ソフト。今回出展したVirtual Group Computing SystemおよびPC運用上手SSの“肝”は,vRASおよびインテルのvPro対応パソコンの組み合わせによって,クライアントのリソースを安全に分割して仮想サーバーを生成する技術にある。
Virtual Group Computing Systemは,仮想サーバーを集約して集中管理可能な仮想ファイル・サーバーとする「My Docマネージャー」機能や,OSやアプリケーションを一元管理する「ワークグループデスクトップ」機能から成るソリューション。ファイル・サーバーやシンクライアント・サーバーといった,集中管理可能な製品と同等の機能を,クライアント1台から実現できる。vRASを搭載したクライアントを追加することが,そのまま仮想サーバーの拡張につながる,という考え方だ。
PC運用上手SSは,vRASを管理者のパソコンなどに導入し,その仮想サーバーから,パソコンの環境や操作状況などを集中管理するソリューション。vRASを複数マシンで稼働させることで冗長化できる。主な機能は,ユーザーの操作履歴を残す「操作監視」,USBデバイスやアプリケーションの実行を制御する「操作制御」,OSの修正パッチ未適用のパソコンをネットワークから隔離する「検疫ネットワーク」など。既に出荷済みのサーバー・ソフト「PC運用上手」の機能を絞り込んだ内容となっている。
いずれも,ソフト単体の価格は1クライアント当たり「数万円程度で,万の位は“下の方”のレベル」(ブースの説明員)。出荷開始は2009年1月以降の予定で,同社の企業向けパソコン「dynabook Satellite K30」の後継機にプリインストールする販売形態が中心となるという。