米MicrosoftのCEOであるSteve Ballmer氏は2008年10月第2週,Xbox 360を指して「文句なしの成功」と発言した。米San Jose Mercury News紙のインタビュー中,急に元気になったBallmer氏は「Xboxは文句なしの成功」とうなずいたのだ。さらに,同氏は「その点に疑問はない。Xboxの売れ行きは大変好調で,ホームラン製品だ」と付け加えた。

 Microsoftの家庭用ゲーム機「Xbox 360」シリーズは,研究開発に費やした数百億ドルもの資金を回収できる見込みが全くない。同シリーズの最新モデルは一向にバグがなくならず,10億ドルを超えるという歴史的な規模のリコールを引き起こした。発売はライバル製品よりも1年も早かったのに,他社が魅力的なゲーム機を投入して急成長した結果,すぐ最下位に転落することとなった。一言でこのような製品を説明する言葉としてBallmer氏が選んだのが「文句なしの成功」という表現だ。

 Ballmer氏はXbox 360の販売が2008年に急減したという現実を突きつけられても,反応しなかった(Xbox 360は2008年1~8月のうち6カ月間,同じく失敗作となったソニーの「PLAYSTATION 3(PS3)」にさえ負けていた)。ただ「先ごろ実施した値下げは人気低迷と無関係」と指摘した(関連記事:Microsoft,米国でも「Xbox 360」を値下げ)。「発売当初,ゲーム機は例外なく高い価格が設定される。そして,徐々に値段が下がるものだ」(Ballmer氏)

 それどころか,Ballmer氏はオンライン・サービス「Xbox Live」が「大成功を収めつつあり」,間違いなくライバルのゲーム機向けサービスをすべて上回るとした。ところが,割と順調なXbox Liveにあやかってパソコン向けに提供開始した不吉なWindows版オンライン・サービス「Games for Windows Live」は失敗だった(関連記事:Microsoft,5月にWindows版「Xbox Live」を提供開始)。Microsoftは先日,Games for Windows Liveの有料化を見送ると発表した。その理由は明白だ,すでにパソコン用ゲームを無料提供するWebサイトがあふれているためである。

 ところで,Ballmer氏が文句なしの成功とする消費者向け製品はほかにもあるが,Xbox 360ほど不適切なものはないだろう。Ballmer氏は,ライセンス販売数1億8000万本以上の「Windows Vista」,セットトップ・ボックス用ソフトウエア「Media Room」,そして「Office 2007」も文句なしの成功と呼んでいる。