総務省は2008年9月5日,情報通信法の制度設計の在り方を議論する「通信・放送の総合的な法体系に関する検討委員会」の第7回会合を開催,「通信・放送の総合的な法体系に関する検討アジェンダ(案)」(以下アジェンダ案)について審議した。

 アジェンダ案とは,これまでの審議結果をまとめ,委員会で審議すべき事項などをあらためて整理したものである(関連記事)。具体的には,「通信・放送の総合的な法体系について(中間論点整理)」(以下中間論点整理,報道資料)および,この中間論点整理に対する意見募集の結果(報道資料)を踏まえ,(1)法体系全般,(2)伝送設備規律,(3)伝送サービス規律,(4)コンテンツ規律,(5)プラットフォーム規律,(6)レイヤー間の規律,(7)利用者利益の確保・向上のための規律,(8)その他の論点――で構成されている。例えば,(2)伝送設備規律では,電波利用の目的・区分について「通信・放送両方のサービスを行うための免許申請や免許を受けた後の柔軟な用途の変更を可能とする制度」などについて「検討することは適当か」などを審議する。

 今回のアジェンダ案では,あらためてNTTおよびNHKの業務内容が議論される可能性が出てきた。中間論点整理では,NTTおよびNHKの業務内容は,「総合的な法体系の在り方に直接影響するものではないことから,本委員会の検討対象とはならない」とされ,いったんは審議事項から外された。たが意見募集の結果を踏まえ,アジェンダ案ではその記述を変更。「その他の論点」の中に,「NTTおよびNHKの業務内容に関する規定の位置付けについては,新たな法体系の在り方について検討する際に,これら特定の法人に影響が及び得る場合に見当することは適当か」といった審議事項が加わった。

 そのほか委員からは,今回のアジェンダ案では具体的に記述されなかった行政組織の在り方について,「検討してもいいのでは」との意見が示された。今後,総務省ではアジェンダ案の審議を深めるために,関係事業者の役員クラスや有識者に対する意見聴取の場を設ける。委員会の第8回会合として,9月26日に伝送設備規律に関するヒアリングを実施する予定である。