台湾の公正取引委員会は,米Microsoftに対する調査を開始した。主な調査対象は「Windows Vista」である。この調査は,2008年6月30日に「Windows XP」の一般販売が打ち切られて以降,Windows Vista購入を「余儀なくされた」と主張する活動家グループが申し立ててから,1カ月程度で始まった。

 台湾公正取引委員会の広報担当者は「申し立てに基づく調査を行っている。6カ月程度かかるだろう」と述べた。同委員会のガイドラインによると,仮に独占禁止法(独禁法)違反という判断が下された場合,Microsoftには最大80万ドルの罰金が科せられ,不適切な事業活動を停止するよう命じられる可能性がある。

 もっとも,現行製品よりも機能や安全性,信頼性で劣る時代後れとなったソフトウエアの販売を再開するようMicrosoftに求める法的機関があるとは思えない。同社はWindows XPのサポート期限を何度も延期してきた。これほど販売期間の長かったWindowsはほかに存在しない(関連記事:Windows XPを取り巻くうわさに注意さよなら「Windows XP」)。

 台湾の非営利団体Consumer Foundationは,MicrosoftがWindows XP販売をやめた唯一の目的をWindows Vistaの販売促進と考えている。この見解は完全に的外れだ。同社はWindows XPがまだ購入可能だった2008年第2四半期に,Windows Vistaを4000万本以上販売した。さらに重要な事実がある。一般の消費者でもその気になれば今でもWindows XPを入手できるのだ。旧版OSに変える長期「ダウングレード」権を行使すると,様々なメーカーのパソコンに搭載されているWindows Vistaの代わりにWindows XPを選べる。