タイムインターメディアは2008年8月5日,次世代プログラミング言語「Haskell(ハスケル)」および「Gauche(ゴーシュ)」の普及を目的とした「HOP(Higher-Order Programming:高階プログラミング) 推進プロジェクト」を開始すると発表した。利用促進イベントの開催や開発ツールの開発提供,コンサルティング・サービスを提供する。
Haskellは関数型と呼ばれるプログラミング言語。JavaやCOBOLなどがプログラムを手続きの集積として記述するのに対し,Haskellではプログラムを関数の集積として記述する(関連記事:連載「本物のプログラマはHaskellを使う」)。Haskellで実装されたアプリケーションには,Perl6の実装であるPugsや分散バージョン管理システムのdarcsなどがある。
Gaucheはハワイ在住の技術者である川合史朗氏が開発したScheme(教育用などによく使われるLispの方言)処理系。起動の速さや正規表現,システムへのアクセスなど,Perlの替わりにスクリプトインタプリタとして使用できる使い易さにを重視して開発されている。
これら抽象度の高い言語を使ったプログラミングを「HOP(Higher-Order Programming:高階プログラミング)」と呼ぶ。タイムインターメディア 代表取締役 佐藤孝幸氏は「世界に先駆けてエンタープライズコンピューティング市場に普及させたい」と意気込む。
HaskellとGaucheはいずれもオープンソース・ソフトウエア。「タイムインターメディアでは創業当初からオープンソース・ソフトウエアの企業システムへの活用に注力してきた」(佐藤氏)。同社ではオープンソースの全文検索ツールnamazuを商用化したkabayakiなどオープンソース関連事業を展開してきた。
タイムインターメディア オープンソース推進室の山下伸夫氏はHaskellの著書を青木峰郎氏と共著で出版するなどHaskellの普及に取り組んでいる。
また同社では,Gaucheの作者である川合史朗氏およびKahuaプロジェクトと共同で,GaucheでWebアプリケーションを記述するためのフレームワーク「Kahua」を独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の「オープンソフトウエア活用基盤整備事業」として開発し,オープンソース・ソフトウエアとして公開している(関連記事)。Kahuaはタイムインターメディアが運営するWebブックポータル・サイト「Karetta」やプロジェクト登録サイト「Tudura」で利用されている。またRuby on RailsをGaucheで実装したGauche on Railsも吉田裕美氏により開発が進められている。
「プログラミング技術は言語によって進化する。例えば近年のRuby on Railsの興隆は,Rubyの抽象力,表現力によるもの」とタイムインターメディア オープンソース推進室の山下伸夫氏は話す。また「先進技術とオープンソースに取り組むことで企業に人が集まる。同時に人が育つ」(同)。
イベントの第1弾として,2008年9月13日に「Gauche/Kahuaセミナー 2008 Fall」をKahuaプロジェクトと共催する。なおタイムインターメディアでは今後,様々な開発基盤ツールの開発に着手しその成果を配布するとしている。