米司法省(DOJ)は米国時間2008年5月27日,全米不動産協会(NAR:National Association of Realtors)との独占禁止法訴訟において両者が和解案に合意したと発表した。司法省によれば,両者の和解によりインターネット・ベースの不動産仲介業者と従来の不動産仲介業者との競争が促進され,消費者の選択肢が広がるほか,より安い仲介手数料の実現が可能になるとしている。

 司法省は2005年9月,NARが独占禁止法に違反するとしてシカゴの連邦地方裁判所に提訴。NARのポリシーがインターネット・ベースのツールを活用する不動産仲介業者を妨害し,業界の競争を制限していると主張していた(関連記事:米司法省が全米不動産協会を独禁法違反で提訴,「仲介業者のネット活用を妨害している」)。

 和解が成立するためには,裁判所の承認が必要となる。両者が合意した和解案を裁判所が承認した場合,NARは司法省が指摘した競争力に関する懸念を解消するためにポリシーの修正が義務付けられる。

 NARのポリシー変更により,NAR提携の物件情報サービス「Multiple Listing Service(MLS)」の規則も修正される。従来型の不動産仲介業者はインターネット・ベースの仲介業者との情報共有を拒否できなくなくなるほか,仮想オフィスのWebサイトを使った仲介サービスや物件の照会ができるようになる。このほかにも,NARは独占禁止法のコンプライアンス・トレーニング・プログラムを導入することで合意している。

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