写真●総務省主催の「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会」第6回会合で増田寛也総務相が中間報告取りまとめの挨拶
写真●総務省主催の「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会」第6回会合で増田寛也総務相が中間報告取りまとめの挨拶
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 総務省は2008年4月25日,「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会」の第6回会合を開催。携帯電話向けフィルタリング・サービスの導入促進と機能改善の方策を提言する中間報告をまとめた。同日,増田寛也総務相が携帯電話/PHS事業者に協力を要請。第三者機関によるサイト認定開始を待ち,6~8月をめどにブラックリスト方式の原則適用を始める。

 中間報告書は,第三者機関によるサイト認定と利用者教育の推進を軸に,携帯電話のフィルタリング・サービスの改善を求める提言が中心。拙速なフィルタリングを抑止するスケジュール変更にも触れており,既存契約者に対して原則フィルタリング・サービスを適用する時期について,EMAなどの第三者機関(関連記事)によるサイト認定とフィルタリング・リストへの反映を終えていることが「必要」という条件を付けた。

 焦点の一つとなっていた閲覧可能サイトの制限方式については,デフォルトは「特定分類アクセス制限方式」が「妥当」とし,(いわゆるブラックリスト)。「携帯事業者提供リスト方式」(同ホワイト・リスト)は小学生以下の児童に推奨する方式と位置づけている。ただし原則として周知の徹底を前提に「通信事業者の方針に委ねられるべき」とした。

 そのほか大枠では,フィルタリング・サービスの課題を「実効性」「透明性」「利用者の周知・啓発」に分類し,利用者および保護者,携帯電話/PHS事業者,フィルタリング・サービス事業者,コンテンツ事業者,健全運営サイト認定の第三者機関,国にそれぞれ責任分担を求めることで携帯フィルタリングの改善を図るものとなっている。

携帯フィルタリングは“三方一両損”で

 中間報告の骨子案(関連記事)に比べると,携帯電話事業者に早急なフィルタリング・サービス改善を求める姿勢を強める一方で,産業政策の観点からコンテンツ事業者に配慮して表現を弱めた部分が散見される。保護者と青少年に対しては,双方のリテラシ向上を前提に利用者責任原則を強調することで,“三方一両損”の方向でまとまったと言える。

 特に携帯電話/PHS事業者に対しては,既存契約者へのフィルタリング・サービス適用を,枠組みの改善を待つべきと提言。「第三者機関が認定したリストが反映され」たフィルタリングが「総務大臣要請に基づくフィルタリングサービスの既存契約者への適用の時点までに実施済みとなっていることが必要である」と言い切っている。

 さらに技術的な課題として,自然言語処理や検索技術によるフィルタリング・リスト作成の省力化を推奨している。これまで携帯電話/PHS事業者のネットワーク外からのコンテンツ収集(クロール)が制限されていた点について,「携帯サイト向けのクローリングに際しては,携帯電話からのアクセスのみしか受け付けない設定にされているサイトも存在し,フィルタリングリスト提供会社における効率的なリスト作成における課題となっている」と指摘。精度向上と把握を可能にするために「関係事業者等で多様な観点から検討を進めていくことが必要である」とした。

 第三者機関に求める責任は,EMA発足後ということもあり具体的な手法に踏み込んだ内容だ。端末の性能不足からカテゴリ分類に頼らざるを得ない携帯電話では「カテゴリ選択の在り方やカテゴリ分類の細分化も検討し,携帯電話事業者に提示すること」「相談や問い合わせに応じる窓口を設けること」「認定の取り消し及びその公表など迅速な対応」などがそれぞれ求められるとした。