「モバイルコンテンツ審査・運用監視機構」(EMA)が2008年4月8日,携帯電話向けコンテンツの健全化などを目的とする有限責任中間法人として発足した。EMAは,違法・有害情報を適時排除する運営体制の審査・認定と青少年の保護育成策を有識者や消費者団体の意思決定の下で実施する第三者機関。認定を得た“健全”サイトをフィルタリングの対象外とする救済策の確立を目指す。

 EMAの発起人として名を連ねたのは,理事長に就任する堀部政男・一橋大学名誉教授,基準委員会の委員に就任する中村伊知哉・慶應義塾大学教授といった有識者をはじめ,通信事業者やコンテンツ事業者,モバイル分野の関係者など100の個人および企業。4月30日の設立総会までに,150社程度の会員を募集する。

認定は6月後半に

 今後は会員を中心に,SNSに代表されるコミュニティ・サイト,一般企業のWebサイトといった分野別に,運営体制を審査する基準を作成。基準策定が終わり次第審査の受け付けを始め,6月後半をめどに認定を出せる体制を整える。

 認定の効果は,「コミュニティ」や「政治」といったカテゴリ単位の携帯電話向けフィルタリングの適用からの除外である。例えば総務省の「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会」の中間報告案(関連記事)では,「第三者機関の認定リストが,携帯電話のフィルタリング・サービスに反映されることが必要ではないか」とEMAの実効性を後押しする内容を盛り込んでいる。

写真1●「モバイルコンテンツ審査・運用監視機構」委員の長谷部恭男・東京大学教授
写真1●「モバイルコンテンツ審査・運用監視機構」委員の長谷部恭男・東京大学教授
 なお携帯電話向けコンテンツの規制については,自民・民主両党が議員立法に向けた動きを見せている。設立会見に出席した長谷部恭男・東京大学教授は「法規制は最後の手段。目的が正当だからといってふるうのが“大ナタ”でよいということではない」とコメント(写真1)。また法案の骨子が18歳未満の青少年に与える「有害性」の基準の下でサイトを有害指定する枠組みである点について,EMA設立準備会の岸原孝昌事務局長は「有害サイトを決めて排除するのではいたちごっこになるだけではないか」と疑念を呈した。

[発表資料(PDF)]

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