写真●ウィルコムの「WILLCOM D4」。右は別売の音声通話用受話器
写真●ウィルコムの「WILLCOM D4」。右は別売の音声通話用受話器
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 ウィルコムなど4社は4月14日、新型モバイル機「WILLCOM D4」を発表した(写真)。最大の特徴は、小型ながらWindows Vista SP1が動作すること。本体重量は約470g、外形サイズは縦約8.4cm、幅約19cm、厚さ約2.59cmと小型・軽量にしつつ、従来のパソコンと同じアプリケーションがそのまま使えるという。

 D4はその形状や仕様から、インテルなどが言う「MID(モバイル・インターネット・デバイス)」に近い(MIDについての関連記事)。MIDはインターネット利用に特化したモバイル機器で、従来のパソコンと同様にWebブラウザが使える仕様を持つ。ウィルコムの喜久川 正樹社長はD4を「ウルトラモバイル」というジャンル名で呼ぶ。「ノートPCよりも小型で持ち運びやすく、いつでも好きな時にコミュニケーションできる。一方で、スマートフォンとは異なり、よりPCに近い使い方ができる。そうしたウルトラモバイルという新しい市場をD4で切り開く」と語る。

 ディスプレイには1024×600ドット表示の5インチ液晶を採用した。タッチパネル機能を備え、画面に直接触れて操作できる。ディスプレイ脇には指の挙動でマウスカーソルなどを動かせるタッチパッドを内蔵した。また、小型ながらもQWERTY配列のキーボードも搭載する。

 プロセサにはインテルが4月2日に発表した新型「Atom」のZ520(1.33GHzで動作)を採用した(Atomの関連記事)。主記憶は1GB。外部記憶装置として40GBのハードディスクを備える。ターゲット・ユーザーとして設定したビジネスパーソンを意識し、マイクロソフトの統合オフィス・ソフトであるOffice Personal 2007 with PowerPoint 2007をプリインストールした。

 無線通信機能として、ウィルコムのPHS通信、無線LAN(IEEE802.11b/g)、Bluetoothを備える。外部ディスプレイ端子やUSB端子を備えた別売のクレードルを使えば、有線LANにも接続可能。音声通話も可能で、付属のヘッドセットや別途販売する携帯電話型の受話器を利用できる。バッテリ駆動時間は「現在測定中」(喜久川社長)という。「数時間程度は動く。長時間使いたいユーザー向けに大型バッテリも別途用意する」(喜久川社長)。ハードウエアの開発はシャープ。シャープはウィルコムの既存スマートフォン製品「W-ZERO3」シリーズも開発しており、引き続き担当した格好である。

 価格はウィルコム直販サイト「ウィルコムストア」で割引メニュー「W-VALUE SELECT」を選択した場合、一括購入なら12万8600円(税込み)。分割購入では頭金が3万9800円(税込み)で、24カ月毎月の負担額が3700円(税込み)。一括購入と分割購入のいずれも24カ月にわたる「W-VALUE」割引が適用されるため、最終的な実質負担額は9万200円となる。「負担額10万円以下で小型Vista機が手に入るインパクトは大きい」と喜久川社長はアピールする。

 分割購入の上で、ウィルコム推奨の通信契約コース「新つなぎ放題コース」(月額3880円=税込み)に契約した場合、ユーザーの初期投資は3万9800円で、以降24カ月間の負担額は毎月5980円となる。予約開始は5月下旬。6月中旬にも発売開始し、順次出荷する予定という。

 ウィルコムは2009年度以降、通信速度を早めた次世代PHSサービスを開始する計画だ。D4については「未定だが、何らかの形で動作するようにする」(喜久川社長)とコメントした。