アナンド・チャンドラシーカ上席副社長 兼 ウルトラ・モビリティー事業本部長
アナンド・チャンドラシーカ上席副社長 兼 ウルトラ・モビリティー事業本部長
[画像のクリックで拡大表示]
Atomと専用のチップセットを組み合わせたプラットフォーム「Centrino Atom」を発表した
Atomと専用のチップセットを組み合わせたプラットフォーム「Centrino Atom」を発表した
[画像のクリックで拡大表示]
Atomではハイパースレッディングの搭載で電力消費の上昇を抑えて性能向上を狙った
Atomではハイパースレッディングの搭載で電力消費の上昇を抑えて性能向上を狙った
[画像のクリックで拡大表示]
「世界最小のコンピューター」と次世代プラットフォームMoorestownの基板を掲げた
「世界最小のコンピューター」と次世代プラットフォームMoorestownの基板を掲げた
[画像のクリックで拡大表示]

 ケータイのネット接続で我慢できない日本のみなさん、MID(Mobile Internet Device)を使ってみませんか――インテルの開発者会議「Intel Developer Forum 上海」の基調講演で、アナンド・チャンドラシーカ上席副社長 兼 ウルトラ・モビリティー事業本部長は携帯機器向けの新CPU「Atom」を紹介するとともに、ネット時代の今こそ小型携帯端末に大きな可能性があると主張した。

 チャンドラシーカ氏はまず、利用頻度の高いWebサイトのトップ10を2005年と2007年で比較。そして、「2007年はYouTubeやfacebookなど、コンテンツをユーザーが作り、それを他のユーザーと共有するサイトが人気を博した」との結論を導き出した。年を追うごとに、ネットは個人の生活との密着度を高めていると説明。ユーザーがネットを今以上に活用し、豊かな生活を送るためには、小型の携帯端末が求められていると主張したのだ。

 なかには「携帯電話でもネット接続できるじゃないか」と考える人もいるだろう。ところが、チャンドラシーカ氏は「現状の携帯電話の利用者は、携帯でのネットのアクセスに満足していない」というのだ。同氏は、日本のネット接続の90%が携帯電話からで、88%のユーザーが携帯電話のネット接続に満足していない、との統計を示した。

 携帯電話で満足できないのは「処理性能」「ネット接続の互換性」「ネットのつながりやすさや速度」が原因だと分析。こうした問題を解決する携帯機器向けのCPUが「Atom」(開発コード名はSilverthorne、シルバーソーン)だとした。

 Atomは従来の小型機器向けCPUとは設計思想が大きく異なっている。「性能を1%向上させるのに、電力消費が1%上げることが許せなかった」との思いが設計のベースにある。例えば、実装面積と消費電力を削減するために、命令の順番を並び替えて処理する「アウト・オブ・オーダー」と呼ぶ機構を削減。代わりに、ハイパースレッディングを搭載して高速化した。同社のテスト結果では、ハイパースレッディングを搭載すると消費電力が17~19%増えるものの、性能は36~39%を向上できるという。

 講演では、中国のレノボやアイゴーが開発したAtom搭載のMIDを紹介。Atomと専用のチップセット(開発コード名はPoulsbo、ポールスボー)を組み合わせたプラットフォーム「Centrino Atom」にも触れた。既にパソコンメーカーへAtomの出荷を始めており、60日間以内に搭載製品が登場するだろうという。

 チャンドラシーカ氏は最後に、さらに小型化を進めた次世代のプラットフォーム「Moorestown(開発コード)」の基板を手に掲げ、「この続きは秋に開催される次回のIDFで紹介する」と講演を締めくくった。