総務省は2008年4月10日,情報通信審議会情報通信技術分科会にて3.9世代携帯電話(3.9G)の商用化に向けた技術条件の検討を開始したと発表した。2008年12月に最終答申を出す。

 3.9Gとは,現行の第3世代携帯電話(3G)を高度化したシステムのこと。3GPPで標準化がほぼ完了し,NTTドコモが「Super 3G」(関連記事)という名称で開発を進めている「LTE」(long term evolution)や,米クアルコムなどが開発を進める「UMB」(ultra mobile broadband)などが3.9Gのシステムに当たる。いずれも100Mビット/秒超と,既存のシステムよりも高速・大容量の伝送を実現するのが特徴だ。

 総務省は,3.9Gシステムの標準化がほぼ完了し,2010年ころの商用化が見えてきたことを受けて,日本国内で商用化する際の技術条件を洗い出す。例えば審議会では,変調方式や送信電力,隣接する周波数帯の干渉条件などを定めていくという。

まずは1.5GHz帯を,2012年以降は700MHz帯も

 3.9Gは3Gを高度化したシステムであるため,3Gで利用している周波数帯をそのまま利用できる。しかし3.9Gの能力を最大限発揮するには,20MHz幅の周波数が必要。各携帯電話事業者からは,現状の3Gサービスを運営しながら20MHz幅の周波数を用意することは難しいという声が上がっている。

 そのため総務省としては,1.5GHz帯の周波数帯を新たに3.9G向けに割り当てる考え。1.5GHz帯は現在,NTTドコモやソフトバンクモバイルの第2世代携帯電話向けに割り当てているが,期限は2010年3月までとなっており,それ以降は空白になる。1.5GHz帯は細切れに利用されているため,審議会では有効な帯域幅がどの程度あるのか,周波数の再編も含めて明らかにしていくという。

 さらに将来的には,3.9G向けの周波数帯として現在,テレビ放送に使われている700MHz帯も視野に入れるという。この帯域はテレビ放送が完全にデジタル化される2012年以降に空く予定だ。

[発表資料へ]