副社長 兼 ソフトウエア・ソリューショングループ ゼネラル・マネジャのレニー・ジェームズ氏
副社長 兼 ソフトウエア・ソリューショングループ ゼネラル・マネジャのレニー・ジェームズ氏
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 米インテルはソフト開発者向けの支援策を強化している。2008年4月3日、中国・上海で開催中の開発者会議「Intel Developer Forum(IDF)」で、ソフト開発者の支援に全面的に取り組むことを表明した。「プロセサおよびハードの性能を引き出し、究極のユーザー体験を可能にするカギはソフトウエアにある」(副社長 兼 ソフトウエア・ソリューショングループ ゼネラル・マネジャのレニー・ジェームズ氏=写真)からだ。

 特に力を入れているのが、MID(モバイル・インターネット・デバイス)向けのソフト振興策(MIDの関連記事)。インテルはMID向けのソフト開発ツール群「Intel Software Development Products for Mobile Internet Devices」を無償で提供する。対象OSは、「MIDのベター・オプションOS(推奨OS)」(米インテルでMIDのマーケティングを担当するパンカジ・ケディア氏)であるLinux。米インテルのWebサイトで4月8日から提供開始する予定だ。

 MIDの開発者コミュニティを育てるために、インテルは2007年9月にオープンソース・コミュニティ「Moblin.org」を立ち上げ済み(MoblinのWebサイト)。MID上で動作するLinux向けのソフト部品をオープンソースとして公開し、開発者同士で共有できるようにする事業である。この事業の成果としてインターネット電話用ソフト「Skype」のMID用バージョンや動画再生ソフト、株式取引用ソフトウエアなどのデモを見せた。インテルによれば500社が参加している。

 また、インテルは同日、「Intel Certified Solutions program」を発表した。インテル製プロセサ向けのソフトを開発する企業に、ソフトのセキュリティやメンテナンス性を確保するためのサービスや開発情報を提供するもの。インテルの投資会社であるインテル・キャピタルが出資して設立した米SpikeSourceが協力する。まず一部の企業で先行的に開始し、今年中には提供範囲を拡大するという。

 SpikeSourceはオープンソース・ソフト(OSS)向けの基盤技術を開発・販売している企業で、動作検証済みのOSSの組み合わせ(スタック)の提供サービスが主な事業。インテル・キャピタルはこの認定プログラムの開始に当たって1000万ドルの追加投資を実施するという(SpikeSourceの関連記事)。

 インテルによれば「今後の大学卒業者の推移を見ていくと、中国のソフト開発者が全世界で一番多くなる」(ジェームズ氏)。インテルは中国の開発者を支援すべく、中国の教育省と組んで、専門学校や大学、スタートアップ企業におけるトレーニング・プログラムの整備を乗り出している。また、ソフト企業の立ち上げを促すべく、政府によるスポンサード・プログラムも始めているという。