ジャスダック証券取引所は2008年3月24日の取締役会で、大阪証券取引所との売買システム一本化の議案を否決した。これを受けて1月から中断していた次期売買システムの開発を再開し、新たに7億円を投資することが決まった。

 取締役会後の会見でジャスダックの筒井高志社長は、「システム統合の基本合意の中身ついて取締役会の承認が得られなかった。だが、この決定はシステム一本化を完全に否定するものではなく、今後も一本化に向けて大証と協議を続ける」と述べた。

 大証は当初から、ジャスダック買収の条件として売買システムの一本化を挙げている。今年1月、大証の米田道夫社長が「売買システムを一本化することで(ジャスダック株の7割強を保有する)日本証券業協会、ジャスダックと共通認識ができた」と語ったことで、システム一本化は確実とみられていた(関連記事)。また実際に、ジャスダックの筒井社長はそのような認識を持っていた。

 しかし、取締役会の認識はそうではなかったようだ。ジャスダックの株式は定款に譲渡制限があり、売却する際は取締役会の承認が必要になる。仮に、取締役会がシステム一本化の議案を否決し続ければ、両社の経営統合が暗礁に乗り上げることになりかねない。また、今回システムの開発再開を決めたことで、最終的にシステム一本化するとしても、決定が遅れた分だけ無駄なIT投資が発生することになる。