米Gartnerは米国時間2008年3月19日,スマートフォン「iPhone」のファームウエア・アップデートで企業向け機能追加とセキュリティ強化が施されれば,業務に利用できるデバイスとして推奨できるとの見解を明らかにした。

 当初Gartnerは,セキュリティ・ツールや電子メール・ベンダーの対応不足を理由に挙げ,iPhoneが業務使用に適さないと判断していた(関連記事:iPhone,2008年にはセキュリティ攻撃で標的へ--セキュリティ企業が指摘)。ファームウエアのアップデートで企業向け機能が強化されることから,Gartner副社長兼アナリストのKen Dulaney氏は「やっとiPhoneがさまざまな分野で『BlackBerry』『Windows Mobile』『Symbian Series 60』などの主な競合スマートフォンに追いつく」と述べる。

 またGartnerは,企業によるiPhoneの普及でほかのApple製品に興味を持つ企業ユーザーも増える可能性があるとみる。その場合は,経験の少ない技術を導入するため,トレーニングや追加投資が必要になると見込む。

 米Appleは2008年6月に提供する予定のファームウエア・バージョン2.0で,米Microsoftのデータ同期プロトコル「ActiveSync」や米Cisco Systemsの暗号化通信プロトコル,無線LAN(Wi-Fi)のセキュリティ規格Wi-Fi Protected Access 2(WPA2)に対応するなど,企業向けの機能を追加する。またiPhone用のソフトウエア開発キット(SDK)を提供し,カスタム・アプリケーションをiPhoneに搭載できるようにする(関連記事:「iPhone SDK」ベータ版のダウンロードが4日間で10万件を突破)。

 さらに,米WebEx Communicationsや米Sybaseの子会社Sybase iAnywhereといった企業もiPhone用の企業向けソフトウエアを発表している(関連記事:WebEx,リモートアクセスサービスPCNowのiPhone版を発表Sybase子会社のモバイル・スイートが「iPhone」に対応,メールのプッシュ配信可能に)。

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