米Googleは2008年3月11日(米国時間),欧州連合(EU)の独占禁止法(独禁法)担当委員から支持を取り付け,31億ドルで米DoubleClickの買収手続きを完了させたと発表した。これにより,Googleはオンライン広告市場で独占体制を築き,ライバルをほぼ全滅させることになる(関連記事:Google,ECの承認を受けDoubleClick買収を完了)。EUの欧州委員会(EC)はGoogleのDoubleClick買収を認めるとみられていたが,承認時に何らかの条件を付けると予想する人も多かった。ところが驚いたことに,ECは無条件で買収を許可したのだ。

 Google会長兼CEOのEric Schmidt氏は,同社の公式ブログで「2007年4月にDoubleClick買収計画を公表してから1年近く経過してしまった。それでも,当社がDoubleClickと組むことでオンライン広告市場にもたらす利益のことを考えると,喜びがこみ上げてくる」と記した(関連記事:Googleが過去最大の企業買収,DoubleClickを31億ドルで)。「詳細な統合計画の立案を本格的に開始する。ただし,本日発表できる詳しい計画はまだない」(Schmidt氏)

 Schmidt氏は「両社の合併により,主に米国で人員削減の可能性がある」とした。合併は段階的に進め,米国の事業統合は4月に実施する予定だ。同氏によると,米国以外の統合スケジュールは各地域の状況に応じて決めるという。

 GoogleとDoubleClickの合併が黙認されたことは,思わぬ結果をもたらすかもしれない。米Microsoftと米Yahoo!がほとんどの主要市場でGoogleから大きく引き離されていることを考えると,ECはMicrosoftのYahoo!買収を阻止しにくくなる。