米Googleは米国時間2008年3月11日,米DoubleClickの買収が成立したと発表した。欧州連合(EU)の欧州委員会(EC)による承認を同日取得したため,取引が完了した。

 Googleは2007年4月13日に,DoubleClickを31億ドルで買収する計画を発表していた(関連記事:Googleが過去最大の企業買収,DoubleClickを31億ドルで)。米Microsoftやプライバシ保護団体などがGoogleによる市場独占を懸念して同買収計画への異議を申し立てた(関連記事:Microsoft,GoogleによるDoubleClick買収の阻止を米国政府に要求GoogleのDoubleClick買収計画にプライバシの懸念,3団体がFTCに申し立て)が,米国連邦取引委員会(FTC)は最終的に「オンライン広告市場の競争は大きく損なわれない」と結論付け,12月20日に同買収計画を承認した(関連記事:FTCがGoogleのDoubleClick買収を承認,Googleは「ECの許可を待つ」)。

 一方,欧州ではECが11月から本格的な調査に乗り出し,4月2日までに結論を出すとしていた(関連記事:欧州委員会,GoogleのDoubleClick買収計画について本格的調査を開始)。

 今回ECは,GoogleによるDoubleClick買収がオンライン広告市場において消費者に有害な影響を与える可能性は低く,欧州経済地域の市場競争を著しく妨害するものではないと判断した。

 Google会長兼CEOのEric Schmidt氏は,「DoubleClick買収により,当社はすぐれたディスプレイ広告プラットフォームを所有することになった。パブリッシャ,広告主,広告代理店に向けたデジタル・メディアの効果,測定,パフォーマンスを大幅に向上するとともに,ユーザーにはより関連性の高い広告を提供できるようになる」と述べた。

 なお,Schmidt氏は同社公式ブログへの投稿記事で,従業員削減の可能性を示している。同社は今後数週間にわたり,DoubleClickの従業員を事業編成プランに合わせて配備する作業を進める。米国内では4月初頭に,全部署への人材割り当てを完了する予定。米国外では,従業員代表者との協議および当該地域の法規に応じてプロセスを進行する。人員整理は「米国内が対象になる見通しだが,他の地域で実施する可能性もある」(Schmidt氏)という。

[発表資料(Googleのプレス・リリース)] [発表資料(ECのプレス・リリース)] [Schmidt氏のブログ投稿記事]