写真1●KDDIの小野寺正社長
写真1●KDDIの小野寺正社長
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 KDDIの小野寺正社長は,2008年3月12日に開いた記者会見でNTT東西が3月末に開始する予定のNGNサービス「フレッツ光ネクスト」について苦言を呈した(写真1)。

 NTT東西が2月27日に公表したNGNを活用したサービス内容(関連記事)については「既存のフレッツサービスでできることとほとんど変わらない」と述べ,「当社の固定系サービスとの競争で,特別に影響が出るようなことはないのでは」との見解を示した。

 一方で,NTT東西がNGNの商用化を契機に,サービス連携を進めたり,県域を越えた事業領域に本格的に進出したりすることについて厳しい見方を示した。NTT東西が,NGNを使って提供するFTTHサービスをフレッツ光ネクストというブランドに統一するほか,企業向けの広域イーサネットサービスでも東西の区域をまたいだサービス提供を開始する。これについて「ユーザーに新たなサービスが提示できていない現状を見ると,NGNをテコに東西を一体化する目的の方が強かったのではないかと疑わざるを得ない」と批判した。

 さらに小野寺社長は,「中国で南北に分割された地域通信事業者は,互いの地域に乗り出して競争することを通じてサービス向上を進めている。これに対して日本で東西を分割した意味がなくなってきていることに危機感を感じている」と続けた。

 KDDIのネットワークを,NTT東西のNGNと相互接続してNGN加入者向けにサービスを提供することについては,「ユーザーの希望に応じて検討するが,NTT東西が用意している相互接続の手法(NNI接続)では,事業として成り立たないのではないか」と消極的な姿勢を示した。