米Microsoftは2008年2月28日(米国時間),パッケージ版「Windows Vista Home Premium」および「同Ultimate」の店頭販売価格を20~40%下げると発表した(ただし,具体的な新価格は公表していない)。値下げは,2008年中頃に予定している「Service Pack 1(SP1)」適用済みWindows Vistaのリリースに合わせて実施するという(関連記事:Windows Vistaのパッケージ版をSP1から値下げ)。

 ただし,今回の価格改定が消費者やMicrosoft自体に大きな変化をもたらすかどうかは不明である。この値下げの恩恵を得る人はほとんどいないからだ。パッケージ版Windowsの店頭販売本数の割合は常に全体の5%を切っている。パソコンに同こんされるものや,企業がライセンスを取得するものなど,実際に購入される形態のWindowsは,価格改定の影響を受けない。

 Microsoftは併せて,新興市場向けのWindowsを,バージョンの整理統合をしたうえで価格を改定する。具体的には,中国やインドなどで「Windows Vista Home Basic」および「同Home Premium」のアップグレード版とフルパッケージ版をそれぞれのフルパッケージ版に一本化し,両バージョンの店頭販売価格を全体的に下げる。

 さらに,新興市場で販売されている自動車の価格より安くするために,「Windows Vista Ultimate」も値下げする(インドのTata Motorsが発表した格安自動車「Tata Nano」のおかげだ)。改定の対象となる地域では経済が上向いているし,店頭販売価格を引き下げることで,世界中の店頭におけるWindowsの販売実態と価格が一致するだろうから,Microsoftにとってより大きな意味がある。