マイクロソフトは2008年2月21日,ゲーム機「Xbox 360」のオンライン・サービス「Xbox Liveマーケットプレイス」で,一般のユーザーが制作した「Xbox 360用の自作ゲーム・タイトル」を,他のユーザーがダウンロードできるようにすると発表した。既に同社は,Xbox 360向けの開発ツール「XNA Game Studio」を無償で公開している。今回ダウンロード・サービスを提供することで,ユーザーの手による「自作ゲーム」を,誰でも自由に遊べるようになる。

 XNA Game StudioでXbox 360用ゲームを開発したユーザーが,Xbox Liveマーケットプレイスにアップロードして公開すると,一般のユーザーがそこから自由にダウンロードできる仕組みである。Xbox Liveマーケットプレイスにゲームをアップロードして公開するためには,「XNA Creators Club」という有償サービスに加入する必要があるが,ダウンロードするだけならサービスに加入する必要はない。

 マイクロソフトでは,こうした自作ゲームの公開機能のベータ・サービスを2008年春に開始し,2008年内に正式なサービスを開始する予定だ。ベータ・サービスに先立って,米国では2月24日から3月9日まで,7人のユーザーの「自作ゲーム」を,Xbox Liveマーケットプレイスで無償で配信する。将来的に,ユーザーが自作したゲームをXbox Liveマーケットプレイスで販売できるようにするかどうかは,現在検討中である。

 マイクロソフトは2006年12月に,Xbox 360向けの開発ツールXNA Game Studioをリリースした。しかしこれまで,XNA Game Studioで開発したゲームをXbox 360上でプレイするためにはXNA Creators Clubに加入する必要があった。これは,XNA Game Studioで開発したXbox 360用ゲームは,ソース・コードの配布のみが可能で,実行形式のプログラムを配布できなかったためである(関連記事:自作Xbox 360ゲームの配布も可能に--MSが開発環境をリリース)。

 従来は,他のユーザーがXNA Game Studioで開発したゲームをプレイするには,ソース・コードを手に入れて,それをXNA Game Studioでコンパイルし,パソコンからLAN経由でXbox 360にコピーする必要があった。そして,ゲームをパソコンからXbox 360にコピーする機能は,有償のXNA Creators Clubに入らないと利用できなかった。

 マイクロソフトの今回の取り組みは,家庭用ゲーム機の歴史上,極めて画期的なことと言える。一般的に,マイクロソフトやソニーといったゲーム・ハードウエア・ベンダーは,ゲーム・タイトルのメーカー(パブリッシャー)からライセンス料を徴収して,そのゲーム・ハードウエア向けのゲーム販売を許可している。よって従来,「一般ユーザーによる自作ゲーム」が,家庭用ゲーム機で遊べることは稀だった。マイクロソフトは,「ゲーム制作に興味を持つユーザーの集まりであるユーザー・コミュニティによって作り出されたゲームが,プレイ,レーティング(評価),共有できるようになる。これは,家庭用ゲーム機として史上初の試みだ」と述べている。同社では,ユーザー自作ゲームもラインナップに加わることによって,2008年末までにXbox 360用ゲーム・タイトルの総数は,1000本を超えるとみている。