写真●米インテル エコ・テクノロジー・プログラム・オフィスのローリー・ワイグル担当部長
写真●米インテル エコ・テクノロジー・プログラム・オフィスのローリー・ワイグル担当部長
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 米インテル エコ・テクノロジー・プログラム・オフィスのローリー・ワイグル担当部長は2008年2月1日,東京ビッグサイトで開催されている「ITpro EXPO 2008」で,インテルの環境対策の4本柱を披露した(写真)。ウイグル担当部長は,ITの環境対策を進める業界団体「Climate Saversコンピューティング・イニチアティブ」の代表も務める。

 「サーバーに関する投資の50%は,電力や冷却に費やされているという調査結果もある。ITの環境対策は非常に大きな問題になっている」とワイグル担当部長は指摘する。インテルが環境対策に取り組む上での柱は,「製造プロセスにおける環境配慮」「電力効率の改善」「環境配慮設計の推進」「業界や政府と連携したポリシー策定」の4つであるという。

製造におけるCO2排出量は全体の54%

 「インテルは,かなり前からプロセサやチップセットの製造工程で環境配慮に力を入れている」(ワイグル担当部長)。1994年から環境報告書を作成しているほか,Webサイトでも同社のエネルギー消費量や化学物質の使用量などのデータを開示している。「2008年1月28日に発表したグリーン電力の購入も取り組みの1つだ」(関連記事)。

 2006年における製品製造時の二酸化炭素(CO2)排出量は,インテルの事業活動全体の排出量の54%を占めたという。インテルが掲げる2010年までにエネルギー消費量を30%削減する目標を達成するには,製造時の対策は重要であることがわかる。

 ただし,事業活動におけるCO2排出量と,同社のプロセサやチップセットによる排出量では,2006年時点で前者が389万トンであるのに対し,後者は1630万トンと圧倒的に多い。そこで,製品のCO2削減,具体的には2本目の柱である製品の省電力化も進めている。

 2007年に発表した45nm High-K製造プロセスを採用したプロセサがそれだ。トランジスタの集積率は2倍に,スイッチング速度は20%向上したが,それだけではなくスイッチングに要する電力を30%削減している。「この3年で電力効率は大幅に向上した。2004年なら6つのラックに126台のサーバーを48kWの電力で動かしていたシステムは,最新のプロセサを使う2007年なら1つのラックに積んだ17枚のブレードで,同じ性能を実現できる。しかも,6kwの電力で動かせる」。

PCとモニターはIT関連消費電力の39%

 同様に,クライアントPC向け製品でも電力効率を上げている。「ガートナーの調査では,企業のIT関連消費電力で最も多いのは,クライアントPCとモニターの39%。サーバーは23%,電話関連が15%であり,クライアントPCは突出している」とワイグル担当部長は説明する。「電源設定をしていないPCは,全体の9割に達する。必要ない時は電源を切るべきだ。クライアント管理を効率化するvProを使えば,電源を切ったPCをネットワーク経由で起動して管理することができる」。

 また,3本目の柱である製品の環境設計については,「鉛フリーやRoHS規制対応を推進している。2008年からは,ハロゲン・フリーも実現する」という。特にハロゲン・フリーについては,ほかのメーカーとのノウハウ共有を進める方針であるという。

 最後の柱,業界や政府と連携したポリシー策定については,米環境保護庁(EPA)との連携を強調する。「インテルが実施した実験データなどを提供している」という。

 また,ワイグル担当部長が代表を務める「Climate Saversコンピューティング・イニチアティブ」にも言及。「2010年までに,世界のコンピュータの消費電力を50%削減することを目指している。代表を務めているのでひいき目かもしれないが,とても期待できる取り組みだと考えている」。日本企業にも参加を呼びかけているという。