写真1●2画面表示機能を使って上にメール画面,下にEZwebを表示したところ
写真1●2画面表示機能を使って上にメール画面,下にEZwebを表示したところ
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 KDDIは1月16日,発売が遅れていたau携帯電話機の冬モデル「W56T」「W54S」「W54SA」の実機を,報道陣向けに初めて公開した。

 これら3機種は,米クアルコムの新チップセットを使ったKDDIの新しい携帯端末プラットフォーム「KCP+」を採用した機種。新たにガジェット機能や2画面表示に対応するなど,同社の冬モデルの目玉機種になると見られていた(関連記事)。しかしKCP+の開発の遅れから,当初予定していた2007年12月に発売できず,現時点でも未発売のままとなっている(関連記事)。それが,ようやく販売のメドが立ったことから「1月下旬から順次発売する予定」(KDDI)であることを明らかにした。

 今回実機が公開されたことで,KCP+の採用によって可能になった2画面表示(写真1)やガジェット機能などの新機能を初めて試すことができた。

上のウインドウでワンセグ,下のウインドウでメールやEZweb

写真2●本体サイドにある「マルチ」ボタンを押すことで2画面表示機能を呼び出せる
写真2●本体サイドにある「マルチ」ボタンを押すことで2画面表示機能を呼び出せる
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 2画面表示機能に関しては,まずワンセグやメールなどのアプリケーションを一つ起動し,本体横にある「マルチ」ボタンを押すことで起動する(写真2)。画面が上下に分割され,現在起動中のアプリが上のウインドウに表示。下のウインドウには新たに起動するアプリケーションを選択できるメニュー画面が表示される。これらの操作によって,上下で別々のアプリケーションを表示する仕組みだ。

 キー操作が可能なのは下のウインドウのみで,上のウインドウの操作をしたい場合は,「マルチ」ボタンを長押しして,上下のウインドウを入れ替える操作が必要になる。同社としては「ワンセグのテレビ画面を上のウインドウに表示したまま,下のウインドウでメールやEZwebなどを利用してもらいたい」という。

写真3●ガジェット機能。メールをチェックするガジェットを表示している。自動で更新情報を得られる
写真3●ガジェット機能。メールをチェックするガジェットを表示している。自動で更新情報を得られる
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 ただ残念ながら,2画面表示に対応するアプリケーションには制限がある。メールやアドレス帳,ワンセグ,EZナビウォークなどは対応するが,例えば同社の音楽サービス「LISMO」やau oneのトップページは2画面表示に対応していない。この点で操作には若干慣れが必要と感じた。

 もう一つの新機能であるガジェット機能については,待ち受け画面に任意のガジェットを登録することで,メニュー操作をすることなくメール・チェックやサイトの更新情報などが自動で得られるというもの(写真3)。ガジェットはブラウザのOperaの機能をベースに開発したという。

 登録したガジェットは待ち受け画面に一覧で表示するのではなく,横スクロールによって一個ずつ表示する形になる。画面に表示したガジェットだけが自動で更新情報を受け取るという。

KCP+搭載機で巻き返しを図りたいKDDI

 KDDIは冬モデルの目玉であるKCP+搭載機の出荷が遅れたことで,年末商戦では苦戦している。1月10日に公開された電気通信事業者協会(TCA)による2007年12月末時点の携帯電話の契約数では,KDDIは辛くも純増数2位に踏みとどまったものの,3位のNTTドコモとの差はわずかとなっている(関連記事)。KCP+搭載機の市場投入によって,早期に巻き返しを図りたい考えだ。1月下旬以降には春モデルの発表も控えている。ただ春モデルのすべての機種がKCP+搭載機にはなるわけれはなく,「半分以下の3~4機種になる見通し」(KDDI)という。