米IBMは米国時間11月12日,カナダのビジネス・インテリジェンス(BI)ソフトウエア・ベンダーCognosを買収することで両社が最終合意に達したと発表した。IBMはCognosの株式1株につき現金58ドルを支払う。買収総額は約50億ドルにのぼる見込み。取引は,Cognos株主の承認などを得たのち,2008年第1四半期に完了する見通し。

 Cognosは世界に約4000人の社員を抱え,2万5000社以上の顧客を持つ。IBMとは15年以上前から提携関係にある。

 Cognosを選んだ理由としてIBMは,「CognosはBIおよびパフォーマンス管理の完全なプラットフォームを手がけている。オープンな標準ベースのサービス指向アーキテクチャ(SOA)と連携し,複数の異なるアプリケーション環境に対するサポートについても歴史がある。これは当社のアプローチと一致する」と説明している。

 IBMはCognos買収により,同社が昨年より推進しているアプローチ「Information On Demand」の促進を図る。Information On Demandでは,情報統合,コンテンツおよびデータ管理,ビジネス・コンサルティング・サービスの強みを組み合わせ,企業がリアルタイムで情報を有効活用できる環境の実現を目指す。

 買収取引完了後,IBMはCognosをInformation Management Software部門の傘下に置く。Cognosのソリューションにコンサルティング・サービス,ハードウエア,ミドルウエアなどを付加し,「より充実した構成で」(IBM)幅広い業界や地域に提供する意向である。

 BI分野では,今年,米Oracleによる米Hyperion Solutions買収(関連記事:Oracle,業績管理ソフトのHyperionを約33億ドルで買収へ)やドイツSAPによるフランスBusiness Objects買収(関連記事:SAPがBusiness Objectsを7900億円で買収)など,大規模な買収が行われている。

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