AOSS2007講演会場
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AOSS2007展示ブース
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タイの国家電子・コンピュータ技術センター(NECTEC)会長のPirash Thajchapong氏
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左から韓国Quan Yuan氏,香港OSSセンターのSteve Lau氏,インドネシア POSSのBenhard Sitohang氏
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左からマレーシアのAfrezal Tahrin氏,スリランカのChamindra de Silva氏,パキスタンのSufyan Kakakhel氏,IPA OSSセンター長 田代秀一氏
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アジア各国政府のOSS推進組織
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 タイのバンコクで11月7日から8日にかけて,オープンソース・ソフトウエア振興を目的とした国際イベント「AOSS2007(Asia Open Source Software Conference and Showcase 2007)」が開催された。タイ国内からは数百人,日本を含むアジア約20カ国から100名近くが参加。タイを含むアジア各国の政府関係者や企業などが講演し,オープンソース・ソフトウエア活用の推進を訴えた。

 またAOSS2007に先立ち11月5日と6日,オープンソース・ソフトウエアを開発するイベント「CodeFest」および,セミナー「Asia OSS Training」も行われた。

2003年から9回め,各国の取り組みを促進

 AOSSは日本とアジア各国の政府が共同で開催しており,第1回は2003年にタイのプーケットで行われ,今回が第9回となる。当初は普及啓蒙・情報共有を目的とした会議だったが,多くの国でオープンソース振興の取り組みや専門組織の設置がなされるなど,普及が進んできたことから,ビジネスを含めたオープンソースの活用促進に対象範囲を拡大,今回から正式名称に「Showcase」を追加した。企業による展示なども行われている。

 タイの国家電子・コンピュータ技術センター(NECTEC)会長のPirash Thajchapong氏はタイにおけるオープンソース・ソフトウエア普及の取り組みについて講演した。2007年7月,タイでOpen Source Software Network(OSSN)が発足した。タイの産官学約30組織が集まり,オープンソースのシェアの向上や,大学でのオープンソース講義の設置などを目指す。NECTECの上部組織にあたるタイ科学技術開発庁(NSTDA)ではOpenOffice.orgを組織内標準フォーマットにしており,2008年までにオフィス・ソフトの半数をOpenOffice.orgに置き換えることを目標としているという。また,2005年の「School Linux Server Project」では,921校にLinuxサーバーを設置した。

 香港OSSセンターのSteve Lau氏は2007年9月に正式に発足した同センターについて報告。ユーザーやソフトウエア・ベンダーに情報提供や支援を提供していくという。

 インドネシア バンドン工科大学Benhard Sitohang氏は,2007年2月にスタートしたオープンソース推進組織POSSについて説明。インドネシアでは IGOS (Indonesia, Go Open Source)と呼ぶオープンソース推進政策を科学技術省や情報通信省など5省庁が進めており,POSSでは大学間のネットワークにより,オープンソースの普及や開発を実施していくと語った(関連記事)。

 マレーシアAfrezal Tahrin氏は,同国のオープンソース普及への取り組みを紹介した。マレーシアでは2004年に「OSSマスター・プラン」を作成。検証などを行うOpen Source Competency Centreを設立した。トレーニングを実施しているほかMySpamGuard,MySurfGuard,MyNetWatchといったソフトウエアを開発し,政府・公共団体141組織に449導入した。2007年の11月6日,7日にはカンファレンス「MyGOSSCON」を開催,874が参加し80%が公共セクターからの参加者だった。

 スリランカのChamindra de Silva氏は「Lanka Software Foundation(LSF)」について講演。LSFはオープンソースの研究や開発を行う非営利組織で,スリランカのIT企業やGoogleなどの外資系企業がスポンサーとなっている。LSFでは4つのグローバルなオープンソース・ソフトウエアを孵化させたという。そのひとつ,Silva氏がプロジェクト・リーダーを務める「Sahana」は,災害時に携帯電話などから災害情報を共有できるもので,5件の災害で公式に使用されたという。

 パキスタンのSufyan Kakakhel氏は「Open Source Resource Center」の活動などを紹介した。OSRCは2002年に設立され,10以上の公共機関でオープンソース・ソフトウエアの移行を行い,3500パキスタン・ルピー以上のコストを削減したという。また40以上のセミナーを実施,2000人以上を訓練した。