インドネシア政府は2月13日,主要な大学を中心とするオープンソース推進組織POSS(Pendayagunaan Open Source Software)を設立した(関連記事,Pendayagunaanは活用を意味するインドネシア語)。バリ島で開催された第8回アジアOSSシンポジウムの会場で,POSSの会長に就任したバンドン工科大学のBenhard Shitohang氏に組織や活動の詳細を聞いた。
---インドネシアは2003年からIGOS(Indonesia, Go Open Source)政策を推進してきた。POSS設立で何が変わるのか。
IGOSは精神だ。これに対しPOSSはネットワークであり,組織だ。
これまでIGOS政策のもとLinuxやオープンソースのCDを配ってきたが,CDだけではアプローチできる範囲に限りがある。多くの大学が持つ人間のネットワークで,これまでよりももっともっと潜在的なユーザーに近付くことができる。
---具体的な活動内容は。
POSSの役目は,社会をエンパワーすることと,オープンソース・ソフトウエア自体をエンパワーすることだ。
社会をエンパワーするためには,オープンソースをワンストップで調べて入手できるリポジトリを作る。
すでにインターネット上には多くのオープンソース・ソフトウエアが存在しており,自由にダウンロードして使用できる。ユーザーが知りたいのは,どのようなソフトウエアが自分の目的にあっているのか,どのような機能を持っているのか,既存のデータは使えるのか,といったことだ。
我々は,オープンソース・ソフトウエアをリストアップしてリポジトリを作る。トレーニングや認証も行う。ヘルプデスクやサポートセンターのような役割も果たしていきたい。
オープンソース・ソフトウエアをエンパワーするためには,テストし,評価しする。オープンソース・ソフトウエアの改良も行う。オープンスタンダードの普及活動も手がける。
---POSSのスタッフの数は。
バンドン工科大学のPOSSには6人が専任で働く。そのほかの教職員もPOSSに協力する。バンドン工科大学だけで数千人の教職員がいる。スラバヤのITS(Surabaya),シカランのPU,ラブドゥールのPI DEL,バタムのPoli BATAM,ジャカルタのUAI,ボゴールのIPBといった大学にもそれぞれPOSSがあり,高度な知識を持つ多くのメンバーがいる。これからさらに大学など参加団体を増やす。
POSSの目標は,OSSが社会をエンパワーする重要な資産となることだ。