マイクロソフトは11月8日,パソコンやモバイル向けの無償Webサービス「Windows Live」の正式版を提供開始した。サービスを利用するためのクライアント・アプリケーションは,Windows LiveのWebサイトでダウンロードできる。

写真1●マイクロソフトのスティーブ・バルマーCEO
写真1●マイクロソフトのスティーブ・バルマーCEO
 Windows Liveで新たに提供するサービスは,写真・動画の編集や共有を行う「Windows Live フォトギャラリー」,インスタント・メッセンジャーの「Windows Live Messenger 2008」,メール・クライアントの「Windows Live メール」,ブログ作成の「Windows Live Writer」,イベント企画の「Windows Live イベント」──である。このうち,Windows Live フォトギャラリーは,写真を編集するだけでなく,編集した写真をオンライン・プリント・サービスを使って印刷したり,2~3回のクリックでオンライン・フォトアルバムやブログに投稿したりできる。

 コミュニケーション・ツールの機能強化を図っているのも特徴だ。例えば,Windows Live Messenger 2008は,チャットに加えて「Windows Live Call」と呼ぶVoIP(voice over IP)機能を新たに追加する。NTTコミュニケーションズのVoIPネットワークを経由して,Windows Messanger 2008のクライアント・ツールから固定電話,携帯電話,国際電話をかけることが可能になる。Windows Live Callは,「近日中には利用できるようにする」(マイクロソフト)という。また,メール・クライアントのWindows Liveメールは,Windows Live Hotmailだけでなく,GmailなどHotmail以外のWebメールやISP(インターネット接続事業者)のメールも一括して管理することができる。

 来日中のスティーブ・バルマーCEO(最高経営責任者,写真1)は会見でWindows Liveについて「マイクロソフトの今後のソフトウエア+サービスの方向性を示すものだ」と,サービス開始への意気込みを語った。

「今後のグーグルの動きを見守る」

 バルマーCEOは,Windows Liveだけでなくマイクロソフトのソフト,サービスに関する記者の質問に答えた。米グーグルが携帯電話プラットフォーム「Android」の開発を発表(関連記事)したことについては「(グーグルのAndroidが)まだ紙の上での言葉でしかないので,明確な比較は難しい。今後のグーグルの動きを見守る」と慎重にコメント。その一方で,Windows Mobileは「既に150の端末に搭載されて100以上の事業者が提供している」と,市場で先行している点での優位性をアピールした。

 また,Windows Liveのような無償サービスの提供拡大については,「広告で収益を得るモデルと,ソフトのライセンス販売のモデルをミックスする」との考えを示した。

「OSも月額料金で提供を」とNTT東副社長

写真2●NTT東日本の古賀哲夫副社長
写真2●NTT東日本の古賀哲夫副社長
 この日の会見には,Windows Liveのディストリビューション・パートナーとして,NTT東日本の古賀哲夫副社長(写真2)も登場した。

 古賀副社長は,FTTH(fiber to the home)のメリットについて触れ,「光ファイバのネットワーク環境下ではセンター側にOSを置き,自宅にはテレビとキーボードを用意するだけでパソコンの機能を使って楽しめる。端末としてのパソコンは不要になる」との持論を展開した。

 マイクロソフトのOS販売についても話は及び,「CD-ROMを箱に入れて3万円とか4万円で売るのは,物売りと一緒だ」と指摘。続けて「OSをネット上で月額料金で利用できるようにして,物売りから本当のソフト売りになることを希望する」と,マイクロソフトに対して意見を述べた。

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